- 2008-03-30 (Sun) 4:50
- 社会
北京オリンピックに広告を出しているスポンサー企業は、チベットにおける反 政府抗議活動の弾圧を受けて、対応に苦慮しているようだ。
次のように、International Herald Tribuneの3月20日付の記事では、「北京オ リンピックでの広告に既に何百万ドルの支払いを約束している企業は、チベッ トでの状況が企業イメージを傷つけると思えたとしても、広告をとりやめるこ とは難しいだろう」としている。
Advertising boycott of Olympics unlikely - International Herald Tribune Published: March 20, 2008
Companies already committed to spending millions to advertise at the Beijing Olympic Games would find it hard to pull their ads if they felt the situation in Tibet was hurting their images.
同じ記事の中で、幾つかのスポンサー企業の声明が紹介されていて、たとえば、 コカコーラ社は、「皆さんとともに、チベットの現状上に深い懸念を表明しま す。スポンサーが、個々の国家の政治的な状況にコメントすることは適切では ないかもしれませんが、オリンピックが善を促進する力であると信じています」 と述べている。
“The Coca-Cola Co. joins others in expressing deep concern for the situation on the ground in Tibet,” the company said in a statement.
“While it would be inappropriate for sponsors to comment on the political situation of individual nations,” Coca-Cola said, “we firmly believe that the Olympics are a force for good.”
サムスンは、「オリンピックは政治的なデモンストレーションに焦点があてら れるべきではありません。私たちは、オリンピックに参加するすべての人々に、 そのことの重要性を認識していただきたいと思います」と述べている。
Samsung Electronics said the Games should not be a focus for political demonstrations “and we hope that all people attending the Games recognize the importance of this.”
コカコーラもサムスンも、たとえ建前であろうとも、チベットで起きているこ とに関して、企業のなにがしかの姿勢を言わんとしていることは伝わってくる。
この記事を読んで驚いたのは、松下電器が、「いかなる政府に関する政治的な 問題にもコメントいたしません」と述べたことだ。松下電器は、パブリックイ メージというものをどう考えているのだろう。こういうのは毅然とした態度と は言わない。この企業は、チベットで起きている問題には無関心なのだなとい うことが伝わってくる。
Matsushita Electric, maker of the Panasonic brand, stressed its 20-year history with the Games and said it would not comment “on political issues concerning any government.”
マクドナルドは、「政治的な問題は、政府や、国連のようた国際機関によって 解決される必要があります。私たちの役割は、常に、世界中のアスリートと、 彼らのチームをサポートすることにあります」と述べている。
McDonald’s, also a longstanding sponsor, said political issues needed to be resolved by governments and international institutions like the United Nations.
“Our role is always to help support athletes and their teams the world over,” said a McDonald’s spokesman, Walt Riker.
コカコーラ、サムスン、マクドナルドも、広告を取りやめるわけではないし、 彼らは、現時点では、広告を打つことよる企業イメージの悪化よりも、広告契 約を続けることによって得られる利益の方が大きいと考えているのだろうが、 少なくとも、チベットで起きていることに対する関心は示そうとしている。そ れを偽善と呼ぶ人はいるだろうが、松下電器のように、何もコメントしないと いう態度は、利潤以外には関心がありませんというメッセージさえ伝わるので はないだろうか。
こういう中で、気骨ある態度を表明している中小企業の社長さんもいらっしゃ る。砲丸作りで非常に高い評価を受けている「辻谷工業」社長の辻谷政久さん は、2004 年サッカー・アジア杯での中国サポーターのマナーの悪さや反日デモ がきっかけとなって、「こんな国に大事なものを送るわけには行かない」とし て、北京オリンピックへの砲丸提供を断ったのだそうだ。
J-CASTニュース:埼玉の世界一砲丸作り職人「北京五輪提供しない」
埼玉の世界一砲丸作り職人「北京五輪提供しない」| エキサイトニュース
中国チベット自治区の騒乱の影響で、一部で北京五輪へのボイコットが叫ばれているが、日本の砲丸作り職人が北京五輪への砲丸の提供を断っていたことが分かった。3大会連続で男子砲丸投げのメダルを「独占」、世界一ともいわれる職人だ。きっかけは、2004年に中国で行われたサッカー・アジア杯での中国サポーターのマナーの悪さや反日デモ。「こんな国に大事なものを送るわけには行かない」というのだ。
同大会への砲丸の提供をやめたのは、埼玉県富士見市にある「辻谷工業」。世界一とも言われるこの砲丸は、社長の辻谷政久さんが手作りしている。「重心」が安定しているため、飛距離にして1~2メートルも違うといわれるほど選手からの評価は高い。
企業が利潤を追い求めるのは当然のこと。しかし、利潤を追求するということ は、利潤以外の価値観は二の次でよいということは意味しない。企業は、世の 中をより良い場所にするということを最高の目標として掲げるべきだ。これは 書生論ではない。世の中は、そういう企業の姿勢を求める方向に進んでいるの です。
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