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晴れた日はいいもんだ

チベット騒乱

チベットのラサで、3月10日に発生した僧侶らによるチベット独立を求める抗議 活動が、14日には民衆を巻き込んだ大規模な騒乱へと発展し、武装警察などが 武力による鎮圧を行った。

新華社通信は、死者は10人で、いずれも市民が巻き添えになり死亡したもので あると報じたが、中国共産党による情報発信であり、鵜呑みにはできない。イ ンドのチベット亡命政府は、チベット人のデモ参加者30人の死亡を確認した とする声明を発表している。チベットには海外のメディアが入ることができず、 事実を確認することができないというのが現状だ。報道されている映像や写真 も中国政府が発表しているものであり、中国政府にとって有利になるような印 象操作が行われているとみるのが適切だろう。

中国政府は、「暴動はダライラマ14世集団が策動した。十分な証拠がある」と 言っているが、今回の騒乱の背景には、中国共産党による長年にわたる苛烈な チベット支配に対する怒りがある。

そして、今回もまた、中国共産党は、武力による強硬な姿勢でチベット民族の 怒りを抑えこもうとしている。以下のワシントンポストの記事は、中国政府が、 今回のラサでの抗議活動に関して、チベット人の独立派に対して投降の最後通 牒(ultimatum)をつきつけたことを伝えている。暴動に加わったものは17日の 夜までに投降せよ、さもなければ徹底的に弾圧するというメッセージである。

China gives Tibetan protesters surrender ultimatum - washingtonpost.com
China on Saturday gave Tibetan independence protesters an ultimatum to surrender after riots in Lhasa which killed at least 10 people in the worst unrest in the region for two decades.

チベットの現状は、日本にとっても、中国という大国と向かい合う国の一つと して、決して対岸の火事ではない。日本政府は、中国政府がチベットで行って いる武力行使や人権侵害に対して、明確な抗議のメッセージを発信すべきなの だが、町村官房長官が「基本的には中国の国内問題とはいうものの、双方が自 制して混乱が拡大しないことを望みたい」という、緩い発言をしたのみである。

これでもまだ、日本政府がチベット弾圧問題に関して中国政府に自制を求める というのは、異例なことなので、進歩といえば進歩なのかもしれないが、抗議 すべきときに、はっきりと抗議の意思を示さないと、敵からも侮蔑され、付け いれられることになる。

中国国家主席の胡錦濤の来日が5月初頭に予定されているが、こんな状態で来日 を受け入れたら、福田政権の支持率は地に落ちるのではないだろか。

ニューヨーク州知事、売春関与で謝罪

米ニューヨーク州のエリオット・スピッツァー知事(民主党)が、高級売春組織の顧客となっていた疑惑が報じられたことを受け、 夫人と共に会見を開き、家族と住民への謝罪を表明した。捜査当局による盗聴で判明したということのようだ。辞任の求める声が高まっているが、会見では辞任の表明はなかった。

スピッツァー知事は、ヒラリー・クリントンの有力な支持者の一人で、大統領選の民主党の特別代議員(super delegates)の一人でもある。

以下のWashington Postの記事でも触れられているが、ヒラリー・クリントンにとって打撃となるのは、有力な支持者の一人がこういう事態になったということだけでなく、今回の事件は、多くの人に夫ビル・クリントンのモニカ・ルインスキーとの一件を想起させてしまうということにある。

今回の謝罪会見で、スピッツァー知事の横で痛々しい表情で並ぶ夫人の姿は、どうしても、あの一件を思い出せてしまうのである。みんな忘れていたというのに。

実際、ある記者はヒラリーに今回のスピッツァー知事の事件についてコメントを求めたが、ヒラリーはコメントをしなかった。二度と質問されたくないであろう。上のWashington Postの記事にあるように、ビルは、コメントを求められたら、何と答えるのだろう。

もちろん、今回の事件は、ヒラリーとは何の関係もない。しかし、大統領選においては、候補者のイメージが大切な役割を果たす。ヒラリーにとっては不運なアクシデントが起きてしまったと思う。

副副大統領

米民主党の指名候補者選びで、ヒラリー・クリントンは、3月4日のオハイオ州、 ロードアイランド州、テキサス州のプライマリーでの勝利の後、11月の本選挙 (一般投票)でのクリントン-オバマ、あるいは、オバマークリントンの大統 領候補-副大統領候補の組み合わせの可能性について質問されて、次のように 答えている。

Hillary Clinton hints at joint ticket with Obama - Los Angeles Times

今の事態が向かっている先は、そういうことかもしれないが、今は、誰が大統領候補になるかを決めなければならない。オハイオ州の人々は、それは私であるべきだと、はっきりと言ったのだ。

That may be where this is headed, but, of course, we have to decide who is on the top of ticket. I think the people of Ohio very clearly said that it should be me.

一方、オバマは、クリントン-オバマ、あるいは、オバマークリントンの大統 領候補-副大統領候補の組み合わせについて、次のように答えている。

Obama: Too Early To Discuss Shared Ticket - CBS News

それを議論するのは時期尚早だ。私が副大統領候補となることは見たくないだろう。私は、大統領を目指して、選挙戦を戦っているのだ。

Well, you know, I think it’s premature. You won’t see me as a Vice Presidential candidate. I am running for President.

まあ、そうだろう。現段階で誓約代議員の獲得数で有利に進めているのは、オ バマであって、クリントンは、これからの州の予備選で勝ち続けても、誓約代 議員の獲得数でオバマに追いつくことは難しいとされている。この時期にクリ ントン-オバマ、あるいは、オバマークリントンの組み合わせに言及するメリッ トは、オバマ陣営にはない。

Los Angeles TimesのAndrew Malcolmが面白いことを言っている。

Hillary Clinton hints at joint ticket with Obama - Los Angeles Times

現実的に考えて、ヒラリー・クリントンに率いられて副大統領になったら、ホワイトハウスでは、2人のクリントンといっしょに働かざるをえなくなるだろう。それは、副副大統領(vice-vice-president)の立場におかれるかもしれないということだ。

Plus, to be realistic, whomever is the Democratic vice president on any successful ticket led by the New York senator will actually be forced to work with a pair of Clintons in the White House, making him potentially vice-vice-president.

副副大統領か。うまいこと言いますね。

米大統領選

米大統領選は、現時点で、共和党はジョン・マケインが指名を確実にしている が、民主党はバラク・オバマとヒラリー・クリントンが指名を争っている状況 である。

他国の選挙であり、気にしても仕方ないのだが、民主党の指名候補争いが混戦 になっているということもあって、ウェブ上のニュースやブログの記事を読ん でいると、それぞれの立場からのフィルターがかかった報道や記事もちらほら 見えてきて、なかなか面白い。

各党の指名候補者選びのプロセスは複雑であり、完全に理解できているとは思 えないのだが、最初に簡単に書いておく。

米大統領選は、共和党、民主党が、各党を代表する候補者を指名することから 始まる。各党の指名候補者選びは、各州で行われるプライマリー(primary)と コーカス(caucus)という2つの方法によって進められる。大雑把に言って、 プライマリー(primary)は、投票所での無記名投票の結果によって代議員を選 出する方法であり、コーカス(caucus)は、党員集会によって代議員を選出す る方法である。各党ごとに、それぞれの州がプライマリーとコーカスのいずれ の方法をとるかは決まっている。なかには、民主党のテキサス州のように、プ ライマリーとコーカスを組みわせた方法をとる州もある。

各州のプライマリーやコーカスでの結果に応じて、その州の誓約代議員 (pledged delegates)が各候補者に配分される。共和党は、プライマリー・コー カスで最も得票率が高い候補者が、その州の誓約代議員を総取りするという方 式を採用している。一方、民主党は、プライマリー・コーカスでの得票率に比 例して誓約代議員が配分されるという方式を採用している。これも、民主党の 指名代表者選びが混戦となっている理由の一つである。

各州での指名代表者選びを経た後、各党の党大会が開催される。党大会におい て、誓約代議員は、各州のプライマリー・コーカスの結果にしたがって割り当 てられた候補者を支持することが決められているが、このほかに、いわゆる特 別代議員(super delegates)と呼ばれる、誓約をしなくてもよい代議員がいる。 特別代議員は、各州のプライマリー・コーカスの結果とは関係なく、党大会に おいて自由に支持候補者を選択できるのである。共和党の特別代議員はそれほ ど多くいないのが、民主党は特別代議員が全代議員の2割を占める。

通常、各州でのプライマリー・コーカスの結果によって、各党の指名候補者が 決まるので、党大会は指名候補者を推戴したお祭りになることが普通である。 しかし、今回の場合、民主党の指名候補者選びは混戦となっており、各州での プライマリー・コーカスの結果だけでは、指名候補者が決まらない可能性が高 く、党大会へ向けて、特別代議員の票の行方に注目が集まっている。

さて、3月4日に行われたオハイオ州、テキサス州、ロードアイランド州、バー モント州での民主党の指名候補者選びは、クリントンがオハイオ州、ロードア イランド州と、テキサス州のプライマリーで勝利し、オバマがバーモント州を 制した。テキサス州のコーカスはまだ最終結果が出ていない。

民主党のテキサス州の場合、同州に割り当てられた代議員数の3分の2をプラ イマリーで、残りをコーカスで決めるという制度が採用されているのだが、コー カスの集計に時間がかかっているのである。

どういうわけか、3月4日の結果に関して、クリントンの勝利をことさら強調し たような報道があるのだが、民主党は、各州の誓約代議員を得票率に比例して 配分するという方式を採用しており、且つ、両候補の支持に大きな差が開いて いるわけではないので、3月4日の結果、クリントンがオバマに対して稼いだ誓 約代議員の数はそれほど多いわけではない。むしろ、3月4日の結果を受けて、 クリントンが、土俵際で踏みとどまったという情勢分析が適切だろうと思う。

しかも、現時点の情報では、テキサス州のコーカサスではオバマが有利であり、 より多くの代議員を獲得しそうな勢いである。クリントンがテキサス州のプラ イマリーでより多くの代議員を獲得したといっても、コーカスの最終結果と合 算したときに、テキサス州の誓約代議員をより多く獲得するのがどちらかは、 まだ分からない。

いずれにせよ、テキサス州のプライマリーにおいてクリントンが稼いだ代議員 数の差は、コーカスの結果が出れば、より小さいものとなるだろうし、ことに よっては、オバマが、テキサス州のプライマリー・コーカスの合算でより多く の代議員を獲得する可能性があるということである。

さらに、3月8日のワイオミング州のコーカスはオバマが制した。

民主党の代議員の総数は4049人であり、指名候補者となるためには、その過半 数の2025人を獲得する必要があるが、クリントンは、引き続く各州の指名候補 選びで勝利を重ねても、民主党大会の前に、誓約代議員の獲得数に関してオバ マに追いつくことは難しいとされている。一方、オバマの方も、民主党大会の 前に、指名を決定づける誓約代議員を獲得することは難しい。

こうなってくると、民主党の代表選出は、各州のプライマリー・コーカスの結 果とは関係なく、党大会で自由に票を投じることができる特別代議員に委ねら れる公算が高い。民主党の特別代議員は、現在796人で、全代議員の2割を占め る。特別代議員は、連邦議会上下両院議員、州知事、党委員会のメンバーから 成っていて、党の重鎮の意見を反映させることが意図されている。

しかし、民主党としては、特別代議員の票によって指名候補者を選ぶという事 態は避けたいだろう。各州での代表選びの結果、オバマが誓約代議員の獲得数 で上回ったにもかかわらず(そうなる可能性が高いが)、党大会での特別代議 員の投票で逆転され、クリントンが代表として選ばれることになると、各州の 代表選びで示された意思は何だったんだろうということになる。密室で決めら れたかのような不透明な印象がぬぐえないし、特に、若い支持者たちが離れて しまうことにもなりかねない。

ここにいたって、民主党の指名候補者選びで、フロリダ州、ミシガン州の再選 挙をしたらどうかという声があがっているようだ。両州は、党の意向にしたが わず予備選の日程を1月に前倒ししたために、党大会への代議員派遣資格を剥 奪されている。1月の予備選では、オバマはミシガン州に不参加、フロリダ州も 選挙活動を自粛したため、結果的にクリントンが両州で勝ったことになってい るが、再選挙となると、おそらくコーカスになると思われるので、クリントン 有利とは言えないだろう。これまでの選挙戦をみていると、コーカスではオバ マは強い。また、フロリダ州とミシガン州が数多くの代議員をかかえていると いっても、いずれかの候補者が圧倒的な差で勝利するとは思えず、結局は特別 代議員の票に委ねられる結果となるのでないだろうか。

クリントン陣営は、フロリダ州、ミシガン州の再選挙に勝って、それによって 誓約代議員の獲得数でオバマを追いつくことができないにしても、大票田に強 いということをアピールし、特別代議員の票に委ねることの正当性を主張する という戦略を立てているのかもしれない。

ともかくお金がかかる大統領選になることは間違いないようだ。

イスラエル軍によるガザ攻撃が激化

イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃が激化している。

ガザは、昨年の6月以来、ハマスが実効支配している地域である。ハマスはイス ラエル領に向けてガザ地区からのロケット弾攻撃を続けており、イスラエルは、 頻発するロケット弾攻撃に対抗して、ハマスメンバーに対するミサイル攻撃な どを行ってきた。

イスラエルでは、2月27日にガザからのロケット弾がスデロト近郊に着弾、昨年 5 月以来となる死者が出たことや、従来型より飛距離の長い高性能なロケット 弾が人口12万人の都市アシュケロンにも着弾するに至ったことがきっかけとなっ て、ガザ地区への大規模な侵攻が避けがたいという見方が強まっている。

3月1日には、イスラエル軍が、ガザ北部のジャバリヤ難民キャンプやベイトラ ヒヤなどで、空軍の支援を受けた地上部隊による掃討作戦を展開し、40人以 上が死亡したと伝えられる。民間人も巻き添えとなったもようである。

こういった中、イスラエル国防次官Matan Vilnaiの次の発言が話題となっている。

As the rocket fire grows, and the range increases … they are bringing upon themselves a greater ‘shoah’ because we will use all our strength in every way we deem appropriate, whether in airstrikes or on the ground.

「ロケット弾による砲撃が拡大するにつれて、彼ら(ガザの人々)は大惨事を 経験することになる。」ということなのだが、議論になっているのは「shoah 」という表現である。ヘブライ語で「shoah」という名詞は、ナチスによるホロ コーストを指すときに使われることが多いので、イスラエルの国防次官が「ガ ザのパレスチナ人がホロコーストを経験する」と発言したとのではないかとい う議論を呼んでいるというわけだ。

Matan Vilnaiの広報担当官は、国防次官は、ナチスにいるホロコーストの意味 でshoahという表現を使ったのではなく、一般の大惨事(disasters)の意味で使っ たのだとしている。

イスラエルにおける言語使用の実態を知らないので、なんとも言えないが、 shoahは大惨事(disaster)を表す普通名詞であり、第二次大戦でナチスが行った ユダヤ人大虐殺としてのホロコースト(the Holocaust)を言い表すときには、定 冠詞のHaをつけて、Hashoahという表現を使うのだという説明は、言語的な直感 には合っている。

a civil war(内戦)、 The Civil War(アメリカ南北戦争)
a white house(白い家)、 The White House(ホワイトハウス)

の違いということなのだろう。

しかし、ナチスによるホロコーストを言い表すときに、惨事を表す他の名詞で はなく、shoahという表現を使うことが多いということは事実であり、その意味 で、shoahが、ナチスによるホロコーストを想起させる言葉であることには間違 いない。イスラエルの国防次官が、そのことに気づかなかったとは思えない。 推測でしか語ることはできないが、強い警告の意味をもたせるために、ホロコー ストを想起させるような表現を意図して使ったのではないのだろうか。品位と 配慮に欠ける言葉遣いであるとは思う。

ともかく、そういった言葉の問題は瑣末なことであり、イスラエルがガザ地区 に対して大規模な侵攻を行う可能性が高まっていることが重大なことである。

イスラエル軍が、ガザ地区に大規模な侵攻を行ったとしても、ハマスを完全に 排除することは困難である。イスラエル政府がその困難さに気づいていないわけで はない。にもかかわらず、イスラエル政府内でそういう機運が高まっていること は、冷静さを失っているという意味で、非常に危険な状況に思える。イスラエ ルが自国の領土と国民を守るために必要な行動をとることは当然のことだが、 ガザ地区に大規模な侵攻を行うことが最良の選択には思えない。軍事的な手段 によってハマスをガザ地区から排除しようとしても、膨大なコストを払った後、 結果として泥沼に陥るのではないか。

ヘンリー王子がアフガニスタンで従軍

英国の国防省は、英王室のヘンリー王子がアフガニスタン南部ヘルマンド州でタ リバンの掃討作戦に従軍していることを明らかにした。

国防省は、ヘンリー王子と彼が所属する部隊に過度な危険が及ぶことを避ける ため、ヘンリー王子のアフガニスタン派遣の事実を伏せるように、英国のメディ アと報道協定を結んでいたが、海外のメディアからのリークがあったため、国 防省がこの事実を認め、英国のメディアも一斉に報道を開始したという経緯で ある。

ヘンリー王子は昨年の12月半ばよりアフガニスタンに派遣されていたが、今回 の情報開示を受け、安全上の理由から、戦闘任務から外れ、ただちに英国に帰 還することが決まった。ヘンリー王子が従軍していることが明らかとなったこ とで、タリバン勢力が集中的に攻撃的をしかけてくることが危惧されるためで ある。

ヘンリー王子のアフガニスタン派遣を公知したのは、オーストラリアの女性誌 「New Idea」が2008年1月7日の記事で書いたのが最初である。しかし、このと きは、New Ideaの記事によっては情報がそれほど広まることはないと見たのか、 英国防省は取り立てて行動を起こさなかった。そのあと、ドイツの新聞「Bild」 が2月27日に報道し、翌日2月28日に米国のウェブサイト「Drudge Report」が記 事にするに及んで、今回の事態となった。

Drudge Reportは、米国クリントン大統領とモニカ・ルインスイキーとのスキャ ンダルを最初に取り上げたことで知られている。Drudge Reportはかなり多くの 読者をもつサイトであり、ここに掲載されれば、一気に情報が広がる。ドイツ の新聞Bildも、300万人以上の購読者をもつ大衆紙であり、Drudge Reportが書 かなかったとしても、世界中に情報が伝わるのは時間の問題だっただろう。

英国防省は英国メディアと報道協定を結んでいたということなので、外国のメ ディアはこの協定に拘束されることはなかったのかもしれないが、情報のリー クが、ヘンリー王子にのみならず、王子が従軍している地域に展開する部隊全 体をも危険にさらすことになるわけで、情報をリークしたメディアやサイトは 責められてしかるべきである。

追記(00:56 a.m. on March 2, 2008):

ヘンリー王子は、3月2日 11:45 a.m.にオクスフォード近くの英空軍の Brize Norton基地に到着し、無事帰国した。

BBC NewsのJon Wiliams(News black-out - BBC News)は、 ドイツの大衆紙Bildは、記事を書いたといっても、限定された紙面コーナー でゴシップ、噂のたぐいとして扱ったもので、推測の域を出たものではな かったので、報道規制を解くことはしなかったとしている。その翌日、 Drugde Reportがフロントページに記事を書いたの見て、英国防省と報道 規制を解くことに合意したと語っている。

イージス艦と漁船の衝突:第一報の遅れ

2008年2月19日午前4時7分頃、千葉県南房総市・野島崎の南南西約4 0キロの沖合で、海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」が、民間のマグロは え縄漁船「清徳丸」と衝突、清徳丸は船体が二つに割れ大破、清徳丸に乗り組 んでいた親子の行方は分からず、現在も捜索が続いているという状況です。行 方不明の乗組員の方が早く見つかってほしいと願います。

海上自衛隊の艦と民間船舶の衝突事故としては、1988年の潜水艦「なだし お」と釣り船の衝突以来の大事故である。同様の事故の再発を防止するために も、事故当時の双方の状況を詳しく調査した上での事故原因の徹底的な究明が 待たれる。

今回の事故では第一報の遅れが問題視されている。事故発生から石破防衛相に 一報が入るまで1時間30分、福田首相には約2時間もかかっている。事故発 生からの流れを追うと、次のようになる。

  • 午前4時07分:事故発生
  • 午前4時23分:イージス艦から海上保安庁に事故の連絡が入る
  • 午前4時40分:海上幕僚監部に連絡が入る
  • 午前5時00分:海自トップの海上幕僚長や防衛省の内部部局に連絡が入る
  • 午前5時38分:石破防衛相に一報
  • 午前5時55分:首相官邸に情報連絡室を設置
  • 午前6時05分:福田首相はが船員の捜索に全力を尽くすように関係者に指示
  • 午前8時00分:関係閣僚会議を開く

海上幕僚監部から石破防衛相まで情報が到達するまでに1時間もかかるのは異 常な遅さだろう。

Yomiuri Onlineは次のように報じている。

重大事件・事故、各幕僚長が防衛相に直接第一報へ : 政治 : YOMIURI ONLINE

防衛省は19日、海上自衛隊イージス艦衝突事故で防衛相への連絡が遅れた ことを受け、重大な事件・事故が発生した場合、陸海空の各幕僚長が防衛相 に直接第一報を伝えるよう防衛次官通達を改正した。

 現行の通達では、各幕僚監部が秘書官を通じて、防衛相に第一報を1時間 以内に事務的に伝えると定めているが、今回の事故では、海上幕僚監部は海 上幕僚長と内局にしか報告していなかった。石破防衛相が内局から報告を受 けたのは、海上幕僚長が事実関係を把握してから約40分後だった。

この記事を読んで分かることは、まず、現行のルールが、幕僚監部が秘書官を 通じて防衛相に第一報を1時間以内に事務的に伝えるという、悠長なものであっ たことである。幕僚長は防衛相を補佐する立場の人間であり、重大な事件・事 故が発生した場合、幕僚長から防衛相に直接情報が上がるのは当然なのだが、 そんな当たり前の連絡ルートが確立されていなかったとには唖然とする。

さらに、現行のルールさえ守られていなかったことが分かる。現行のルールで は、海上幕僚監部は防衛相に第一報を伝えることになっていたにもかかわらず、 それを怠っている。

悪い情報ほど第一報を早く上げろというのは、組織においては鉄則だ。第一報 が遅れる原因としては次の3つが考えられる。

  • 適切な連絡ルートが確立されていない
  • 状況の重大さが認識できていない
  • 悪い情報は上に報告したくないという人間の心理

今回の場合、適切な連絡ルートが確立されていなかったということがまずある ようだが、それだけだろうか。状況の重大さが認識されていれば、海上幕僚長 に情報が入った時点で、現状のルールにはないにせよ、防衛相に第一報をもた らすことはできたのではないか。

悪い情報は報告したくないというのは人間の心理ではあるが、悪い情報であれ ばあるほど、確認はしなくてもよいから、とにかく素早く報告しなければなら ない。最悪の事態を避けるために守らなければならない鉄則である。この鉄則 を守ることができる組織を作るためには、上に立つものは、部下から悪い情報 が第一報として上がってきたときに、決して怒ってはならない。悪い情報を上 司に報告したら怒られると思えば、部下は悪い情報を手にしたとき、自己保身 の気持ちが先立って、十分に周辺情報を集めてからでないと情報を上に報告し たがらくなってしまうからである。そういった意味で、防衛省の中の信頼関係 はどうであったのか。

防衛省という国の安全保障を預かる組織が、第一報の連絡の遅れという、こん な緩いことで大丈夫かという思いをいだく人は多いだろう。私もそうである。 しかし、これは他人事ではないとも思う。自分が働いている職場であれ、日々 生活する家庭であれ、悪い情報が素早く連絡される環境は整っているだろうか。 悪い情報を聞いたときに、不愉快な態度や怒りを示してはいないだろうか。自 分の周りや、自分の態度を思い起こしてみると、必ずしも万全とは言えないこ とにも気づかされる。

キレない自分

斎藤茂太氏の「人間関係で「キレる!」と思ったら読む本」 を読んでいる。

人によるのだろうが、日々生活していると、キレてしまいそうになることはある。人はなぜキレてしまいそうになるか。あるいは、実際にキレてしまうのか。この問いに対して、斉藤氏は、「キレる」ことが自分を救う手段になっているからだろうと言う。確かに、キレることは、無理や我慢を重ねて心身が病気になってしまうことから、自分を救おうとしているという側面はあるだろう。

しかし、それでほんとうに自分を救えるのかというと、そうではなくて、キレることによって状況をさらに悪化させ、自分を窮地に追いやってしまうことも多々ある。少し長い目で見ればわかることだが、キレ得ということはない。我々の社会は、ここぞというところでキレる人に対して信頼を置かないようにできている。キレても問題は解決しないのである。

この本は、キレないで問題を解決するためのコツが紹介されていて、身につまされならがも、楽しく読むことができる。この本を読みながらキレたとしたら、かなりの重症と言えるだろう。

そのうちのコツの一つ。気にしないという決め事をつくることで、感情をコントロールする。たとえば、朝出かける前には夫婦げんかをしないように決めておくというのは、実践している人も多いのではないだろうか。あるいは、会社のある人物に何を言われても気にしないように決めておくとか。苦手な相手だからといって挨拶もしないのはいけないが、不愉快なことを言われても受け流すように決めておく。前もって決め事をつくっておくということがポイントである。苦手な相手とは、挨拶、連絡といった基本ルールはきっちりと守ることで、ていねいに付き合うことが大切であるというのも、斉藤氏のアドバイスの一つである。

もう一つ、腑に落ちたアドバイスは、悩みごとには締め切りをつくっておく。締め切りが過ぎたら、悩むことはおしまいにする。そう、同じことをグルグル考え続けたあげく、結局何も解決せず、それがさらに悩みを深めて、また悩み始める、なんていうことはばかげたことだ。

思考は自分の道具として使うものであって、それに振り回される必要はなく、感情は湧き上がるままに流せばよいのです。

人間関係で「キレる!」と思ったら読む本
斎藤 茂太
4860811399

晴れた日はいいもんだ

一仕事終えて、何をするでもなく、外を歩いた。夕暮れの日常の風景。よく晴れている。何も考えず、ただ佇み、自由だなとつぶやいてみる。人は本来自由なのだ。縛られていると感じるのは思い込みに過ぎない。

晴れた日はいいもんだ。ふとそう思った。この自然な気持ちのまま、なにゆきにまかせてみよう。

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