レセプションの機能

先のエントリでは、レセプションが成立する条件について書きました。まとめておきます。

レセプション(Reception) <br/> 天体Aが天体Bによってレシーブされる(recieved)、あるいは、天体Bが天体Aをレシーブする(receive)とは、<br/> 天体Aが位置するサインまたは度数において、天体Bがエセンシャルなディグニティをもち、且つ、天体Aと天体Bが合あるいはアスペクトをもつときを言う。<br/> ただし、ミューチャル・レセプションの場合、すなわち、2つの天体が互いにディグニティをもつ場所にある場合は、2つの天体が合あるいはアスペクトをとっていなくとも、レセプションと同様の効果が期待できる。

なお、天体が位置する場所において天体Bがディグニティともつといっても、どんなディグニティでも同じ効果をもつわけではなく、サイン・ルーラーとエグザルテーションによるレセプションの場合に効果が大きいと言われています。トリプリシティ、ターム、フェイスといったマイナーなディグニティによるレセプションの場合は効果が小さく、Bonattiなどは、マイナーなディグニティのみのレセプションが効果を現すためには、2種類のマイナー・ディグニティによるレセプションが必要であると言っています。

さて、このエントリでは、ホロスコープ解読におけるレセプションの働きについて、まとめておきます。以下のテキストを参考にしています。

Deborah Houldingの記事にあるように、Bonattiは、レセプションの働きに関して、次のように記述しています(Bonatti, Liber Astronomiae、Treatise III, the Second Part, Chapter XC)。

天体Aが天体Bによってレシーブされるとき、天体Bは、天体Aに対して、自身の 影響力、性質、効力を委ね、授ける。([Planet B] commits and gives [to Planet A] its own disposition, nature and virtue)<br/> ………<br/> たとえ2つの天体が敵同士であったとしても(even if the planets are hostile)、天体Bは天体Aに対して影響力を与える。

「影響力」とか「効力」とか「委ね、授ける」とか、あまり良い訳ではないです。これだけでは分かりづらいと思うので、もう少し具体的に説明してみます。

天体Aが天体Bによって支配される場所に位置しているとします。天体Bによって支配される場所というのは、たとえば、天体Bがサイン・ルーラーとなる場所(サイン)とか、天体Bがエグザルテーションとなる場所(サイン)といった意味です。その心は、天体Bがディグニティをもっている場所に天体Aがいるということです。

また、天体Aが天体Bによって支配される場所に位置するということの意味は、状況に応じて様々です。天体Aは天体Bに関心をもっているのかもしれないし、天体Aは天体Bの管轄下で何かやろうとしているのかもしれないし、天体Bは何らかの意味で天体Aに捉われているのかもしれません。いずれにせよ、ここまでは、天体Aが天体Bによって支配される場所にいるということに由来する解釈であって、レセプションとは関係のない解釈です。

このとき、天体Aが天体Bによって支配される場所に位置していることに加えて、天体Aと天体Bが合あるいはアスペクトをとっていると、レセプションが成立します。Bonattiの説明だと、「天体Bは、天体Aに対して自身の影響力、性質、効力を委ね、授ける(commits and gives ts own disposition, nature and virtue)」ということになるわけですが、どういうことかと言うと、天体Bは、自分が支配する場所にいる天体Aに対して、「そこにいていいよ。君はウェルカムだ」、「あなたの関心を受け入れますよ」、「君に僕の力を与えよう」、「君のため に僕の力を使ってあげよう」などと、天体Bは天体Aを受け入れ、手助けしてくれるようになるわけです。このことは、Deborah Houlding が書いているように、王様が、自分に従う配下の者たちに対して、思いやりの心をもち、彼らのために力を行使してやることとに似ています。

さらに、レセプションの重要な機能として、天体Aと天体Bが互いに敵意をもつような関係であっても、、天体Aと天体Bの間にレセプションがあれば、その敵意を和らげることができるという機能があります。このレセプションの機能は、伝統占星術の文献に何度も繰り返して現れます。天体Aが、マレフィックな天体Bとスクエアであっても、天体Bが天体Aをレシーブしていれば、困難さは和らげられるとか、あるいは、場合によっては事が成就する、といった具合です。

この典型的な例が、William LillyのChirstian Astrology, Vol.I, p.173にあります。Lillyは、ここで、「相手に要求したお金やモノを手に入れることができるか?」(相手にお金を貸していてそれを返してもらうような場合)というホラリーを解読するルールについて説明しています。

詳しい解説は、Deborah Houldingの記事を読んでいただくこととして、簡単に説明すると、この状況では、質問者は1ハウス・ルーラーか月、相手は7ハウス・ルーラーで表されます。相手のお金(質問者が手に入れたいもの)は、8ハウスが管轄します。

Lillyは、まず、1ハウス・ルーラーあるいは月が、8ハウス・ルーラーか8ハウス内の天体とアスペクトするかどうかを見なさいと言います。もし、1ハウス・ルーラーあるいは月が、8ハウス内の天体とアスペクトをとり、且つ、その8ハウス内の天体が幸運な天体であり、アスペクトが調和的なアスペクト(トライン/セクスタイル)であれば、事は成就します(お金は手に入ります)、とLillyは言います。ここで、幸運な天体とは、単純には、状態のよい木星や金星を考えればよいでしょう。

次に、1ハウス・ルーラーあるいは月が、8ハウス内の不運な天体や8ハウス・ルーラーとアスペクトをもち、且つ、その8ハウス内の天体や8ハウス・ルーラーが1ハウス・ルーラーあるいは月をレシーブするするならば、事は成就すると言います。ここで、不運な天体とは、単純には、土星や火星を考えればよいです。

さらに、1ハウス・ルーラーあるいは月が、8ハウス内の不運な天体や8ハウス・ルーラーとアスペクトをもち、且つ、8ハウス内の天体や8ハウス・ルーラーが1ハウス・ルーラーもしくは月をレシーブしないのであれば、質問者が困難に出会ったり、苦労をしたり、あるいは、事は成就しないであろう、と言います。

このホラリーのルールは、レセプションの機能をうまく使っています。すなわち、8ハウスには、相手のお金という意味の他に、危険とか困難とか、本来的に1ハウスに対して敵対する意味があるため、8ハウス・ルーラーや8ハウス内の不運な天体と、質問者自身を表す1ハウスルーラーや月がアスペクトをとることは、質問者にとって本来的に危険を意味します。その危険を回避するためには、8ハウス・ルーラーや8ハウス内の天体が、1ハウス・ルーラーや月をレシーブすることによって、1ハウス・ルーラーや月を受け入れ、手助けを与えることが必要です。そういったレセプションが成立すれば、8ハウスからの敵意は和らげられるため、事は成就するというわけです。

このレセプションの機能については、Benjamin Dykesが、Skyscriptのフォーラムにおいて、十字軍を扱った映画「Kingdom of Heaven」のシーンを使って、分かりやすい比喩を使って説明しています。正確には、Skyscriptのフォーラムを見ていただくこととして、簡単に紹介すると、

十字軍の二人人の王がサラディンに捕らえられ、サラディンのテントに連れてこられた。サラディンは、二人の王のうち、一人の王に対しては、ゲストとして迎える心づもりで、王に氷水を与えた。ところが、サラディンがゲストとして扱うつもりでない王もまた氷水を取った。その王は殺された。

サラディンが支配する場所に入った二人の十字軍の王のうち、一人の王はサラディン(8ハウスルーラー)にレシーブされているから無事だったけれど、もう一人は、レシーブされていなかったので、殺された、という比喩です。

以上、レセプションの機能を説明しました。単に、天体Aが、天体Bによって支配される場所に位置するだけではレセプションとは言わず、アスペクトがあることによってはじめて、天体Aは天体Bの力の恩恵を受けることになります。

なお、最初に書いたように、レセプションがミューチャルなものであれば、アスペクトがなくても、レセプションと同様の機能をもちます。しかし、ミューチャルなレセプションがどういう意味をもつかをよく考える必要があります。1ハウス・ルーラーと8ハウス・ルーラーがミューチャルなレセプションをもつことは、必ずしも良いことではありません。上に書いたように、8ハウス・ルーラーが1ハウス・ルーラーをレシーブすることは好ましいですが、逆に、1ハウス・ルーラーが8ハウス・ルーラーをレシーブすることは、怖い人を自分の家に招いていることなので、必ずしも良いことであるとは言えません。双方向のレセプションのうち、いずれが支配的な影響力を発揮するかは状況によります。

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