社会サービスにおけるエラー

10/12の始発から首都圏のJR,私鉄,地下鉄の駅で自動改札機が動かないト ラブルが発生しました.

最初は自動改札機の電源が入らないという報道を聞いたので, いったいどうやったらそんなことが起きるのか,意味がよく分からなかったで すが,ITmediaに,原因についての記事が掲載されていました.

260万人の朝の足を直撃 プログラムに潜んだ“魔物” – ITmedia News
日本信号によると、現時点で判明しているのはこうだ。原因は自動改札機のICカード判定部の不具合。判定部には毎朝、サーバから起動用データの1つとして、「ネガデータ」(ネガティブデータ)と呼ぶ、旧式カードや不正カードなど、改札を通過できないカードを認識するためのデータを送信している。この朝もネガデータを送信したところ、判定部がネガデータをメモリに読み込む際に不具合が発生。処理がそこでストップし、起動しなかったという。
ICカード判定部(同社資料より) 調べたところ、ネガデータに「ある長さ、ある件数」といった条件が重なった時、データが読み込めなくなるプログラム不具合が判定部側にあることが判明。このため、判定部はエラーを返しながらネガデータ読み込みのリトライをひたすら繰り返す状態に陥り、起動処理が止まった。

自動改札機の起動時に,サーバから送られてくるデータの読み込みに失敗して, 読み込みをリトライして無限ループに陥ったため,自動改札機が起動しなかっ たということのようです.

私たちが日頃利用している様々な機器やサービスは,ソフトウェアなしには動 作しませんが,ソフトウェア開発時にテストを繰り返しても,実際問題として エラーが0になる保証はなく,実サービスで稼働中のソフトウェアのメインテ ナンスを十分に行うことも簡単なことではありません.今回のようなソフトウェ アのバグ(エラー)は,思ってもみないところに潜んでいる可能性があります.

コンピュータがいたるところに浸透した現在の社会は,ソフトウェアのエラー によって大きな混乱や事故が引き起こされるリスクをかかえています.今回の 出来事も,経済的な損出だけでなく,まかりまちがえば,改札が混乱して,怪 我人が出るような状況も想像できます.日常の生活が平穏に過ぎていくのも, 偶然の連続ではないかとさえ思えてきます.

コンピュータのソフトウェアということだけでなく,多くの人間が協調しなが ら運営している社会のシステムやサービスにエラーが潜んでいるのは,よくよ くあることで,年金の記録漏れもその一つの現われです.

ICT(情報通信技術)が浸透した社会は,多数の人間,多数の情報システム, 様々な社会制度が,協同で実現しているようなもので,そういった社会におい ては,コンピュータのソフトウェアだけを問題にすべきではなく,情報システ ム,人間,社会制度のどこかにエラーや問題が発生しても,それをカバーでき るように,全体を設計することが重要です.

もっと大きく言えば,人間の行いや,技術,社会制度が地球規模の環境に影響 を与え,それがまた人間に跳ね返ってくるということがあるわけで,そういっ た中では,人間,技術,社会制度,環境の相互の関係を広く見渡しながら,問 題の在り処や解決法を考えていったり,技術や社会制度を設計したりといった 視点が必要となってきているのでしょう.

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