Joseph CraneがMountain Astrologerの最新号にヘレニズム占星術(Hellenistic Astrology)についての紹介記事を書いています。
- Joseph Crane: A Practical Introduction to Hellenistic Astrology, The Mountain Astrologer, Issue 138, April/May 2008, pp.65–73 (2008).
ヘレニズム占星術の内容に入る前に、まず歴史を振り返っておきましょう。ヘ レニズム時代(Hellenistic period)とは、通常、アレクサンドロス3世(アレク サンドロス大王)の東方遠征の開始(334 BC)、あるいは大王の死(323 BC) から始まり、クレオパトラが自殺して,プトレマイオス朝エジプトが滅亡する (30 BC)までの間を言います。
大王の死後、彼の帝国はプトレマイオス朝エジプト、セレウコス朝シリア、ア ンティゴノス朝マケドニアに分割されましたが、ギリシャ文化とエジプトや中 東地域をはじめとする東方文化とのあいだの交流が進みました。
ヘレニズム占星術とは、ヘレニズム時代に、エジプトで始まり、地中海地域に 広まったホロスコープ占星術を指します。上に書いたように、通常ヘレニズム 時代は、ローマの介入によるプトレマイオス朝エジプトの滅亡までの時代を指 しますが、ヘレニズムの文化は、その後も、ローマに強い影響を与え続けまし た。占星術に関しても同様で、ヘレニズム時代に発達した占星術は、西ローマ 帝国の滅亡(476 AD)の後も、大きく形を変えず、ビザンチン帝国において6-7世 紀まで実践されていました。したがって、ヘレニズム占星術といえば、いわゆ るヘレニズム時代の範囲を超えて、6-7世紀までビザンチン帝国で実践されてい た占星術までを含めることも多いです。
ヘレニズム世界で起こったホロスコープ占星術の伝統は、その後、ヨーロッパ では潰え、占星術の中心はアラブ世界へと移っていき、12世紀になって、アラ ブ世界で発達した占星術が、イベリア半島からヨーロッパに再移植されるとい う歴史をたどることになります。こういう歴史を調べていくと、非常に面白い のですが、ヘレニズム占星術に話を戻します。
Joseph CraneのMountain Astrologerの記事では、米国ニューヨーク市元市長のルディー・ジュリアーニの出生ホロスコープを例にとりながら、ヘレニズム占星術について概説しています。ルディー・ジュリアーニの出生ホロスコープは次の通りです。
ルディー・ジュリアーニの出生ホロスコープ

Joseph CraneがMountain Astrologerの記事で最初に書いているヘレニズム占星 術の特徴は3つです。最初のひとつは、ご愛敬でしょうが。
1.Outer planet
Joseph Crane曰く、とりあえず、天王星、海王星、冥王星のことは忘れて始め ましょうということです。ここで、彼は、現代占星術を貶める意図は全くなく、 ヘレニズム占星術を理解するために、天王星、海王星、冥王星のことはいった ん忘れてくださいという意図で書いているのだと思います。
上に示したジュリアーニの出生ホロスコープでは、天王星、海王星、冥王星の 位置を示していませんが、実は、彼の出生ホロスコープでは、太陽と天王星の 合や、火星と冥王星の合が見られます。しかし、それに気をとられていると、 牡牛の水星と金星や、水星と金星の太陽や土星に対する関係から注意が反れて しまいます。
2. Aspect orbs
ヘレニズム占星術の伝統では、アスペクトはサイン間の関係で捉えます。たと えば、ジュリアーニの出生ホロスコープでは、牡牛の金星と水星は、それぞれ、 獅子の火星、木星、月とスクエアのアスペクトをとります。双子の太陽と土星 は、獅子にある天体とセクスタイルのアスペクトをとります。天体のオーブを 考えないで、サイン間の関係に注目するわけです。
3.Whole Sign House
ヘレニズム占星術の伝統では、ハウスシステムとして、ホールサインハウスを 使います。上のジュリアーニの出生ホロスコープもホールサインハウスを使っ ています。アセンダントは乙女29度ですが、ホールサインハウスでは、1ハウス は、アセンダントの度数から始まるのではなく、アセンダントを含むサイン全 体が1ハウスとなります。ジュリアーニの出生ホロスコープの場合、乙女0度か ら29.99度までが1ハウスとなるわけです。続いて、反時計回りに、2ハウスは、 天秤0度から29.99度までとなります。
このあと、Joseph Craneは、ヘレニズム占星術のロット(Hellenistic Lots)、 予測技法も絡めながら、ヘレニズム占星術の伝統に沿って、ジュリアーニの出 生ホロスコープを読んでいます。ロットは、現在、アラビックパーツと呼ばれ るているものですが、その起源は、アラブではなく、ヘレニズム時代のエジプ トにあるので、Hellenistic Lotsとか、Greek Lotsと呼ぶほうが、歴史には合っ ています。ヘレニズム占星術の伝統に沿ったジュリアーニの出生ホロスコープ の解読は、なかかな面白いので、このブログでも、後日、触れたいと思います。
Joseph Craneの記事は、ヘレニズム占星術の基本を簡単に述べたものです。さ らに詳しいことを知りたい方は、Joseph Craneが最近書いた「Astrological Roots: The Hellenistic Legacy」を読むといいかもしれません。私は、持って いないので、内容に沿っての推薦はできませんが、時間があったら目を通した い本の一つではあります。
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