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うお座効果は本当に存在するのか (2)

  • 2008-08-30 (Sat) 22:54
  • 統計

うお座効果に関するエントリーの続きです。

ミッチェル氏が自身のサイトでThe Pisces Effectで主張しているうお座効果とは、1896年以降の近代オリンピックのメダリストの誕生日を調べたところ水泳や水球といった種目のメダリス トは、それ以外の競技のメダリストと比べて、うお座生まれが多いというものです。

また、ミッチェル氏は、メダリストは、やぎ、みずがめ、おひつじの生まれが多い、月で言うと、12月終わりから4月終わりの生まれが多いとも言っています。

しかし、ミッチェル氏の議論には、少し考えるだけでも、以下のような問題が あります。

(1)スポーツ選手の誕生月に偏りがあることはよく知られていることなので、 生まれ星座だけではなく、生れ月のデータも示すべきである。また、スポーツ 選手の誕生月の偏りは、各国の学校の始業次期やスポーツ組織の年齢制限の区 切りと関係が深いことが考えられるので、国ごとのデータをよく検討するべき である。

(2)ミッチェル氏は、うお座効果をはじめとする生まれ星座の偏り現象が統計 的に有意であることを主張するために、誕生日が一様に分布することを前提と して計算した期待値と比較することを行っているが、これだけで、統計的な有 意さを主張することは乱暴である。

(2.1)実際には誕生日は一様には分布しないことが知られている。生まれ月 の実際の観測データが得られる場合には、それも示して議論すべきである。

(2.2)特定の競技の生まれ星座の分布の偏りを主張するならば、(3)で 述べるように、全競技のメダリストの生まれ月/生まれ星座の分布と比較する べきである。

(3)水泳、水球のメダリストが他の競技よりもうお座が多いと主張したいのであ れば、、誕生日が一様に分布することを前提として計算した期待値と比較する だけでなく、全競技のメダリストの生まれ月/生まれ星座の分布と比較するべ きである。

ミッチェル氏の主張の正当性を確認するために、ミッチェル氏のサイト で示されているデータを使って検証しようと考えましたが、ミッチェル氏は生まれ月のデータを示していません。また、全競技者のデータも示されていません。

ミッチェル氏は、水泳/水球のメダリストのデータと、全競技のメダリストから水泳、水球、カヌー、ボート、セーリングのメダリストを除いたデータを示 していますが、カヌー、ボート、セーリングのメダリストのデータは示していないので、全競技者のデータが分からないのです。

そこで、ミッチェル氏がデータを収集するために使ったオリンピックのデータベースサイトから自分でデータを収集しました。そのデータベースサイトとは 以下のものです。

databaseOlympics.com - Olympic results for all Winter and Summer Olympics

このサイトのHTMLの構造を解析するプログラムを作成し、1896年から2004年までのオリンピックメダリストの誕生日のデータを収集しました。誕生日のデータをWikipediaのような別の情報源で確認することは行っていません。このサイトのデータをそのまま使っています。

誕生日が不明のものは除きました。以下でメダリストと言うときは、databaseOlympics.com - Olympic results for all Winter and Summer Olympicsで誕生日が与えられているメダリストのことを指します。

また、競技のジャンルの中にArt Contestsというものがあったのですが、スポーツとは関係がないと判断して、除きました。

まず、収集したデータが、ミッチェル氏の収集データと統計的に同等のもののであるかを確認しなければなりません。全競技のデータを比較したいのですが、先に述べたように、ミッチェル氏は、カヌー、ボート、セーリングのメダリストのデータを示していませんので、直接ミッチェル氏の収集した全競技者のデータを得ることができません。そこで、私が集計したカヌー、ボート、セーリングのメダリストのデータでミッチェル氏のデータを補完したものをミッチェル氏の全競技のデータとみなし、それと私が集計した全競技のデータを比較することにしました。

私が集計したカヌー、ボート、セーリングの生まれ星座ごとのメダリスト数は以下の通りです。

カヌー、ボート、セーリングにおける生まれ星座ごとのメダリスト数(Hoshitaniが集計したデータ)
生まれ星座ARITAUGEMCANLEOVIR
カヌー、ボート、セーリングのメダリスト数312274257274278261
生まれ星座LIBSCOSAGCAPAQUPISTotal
カヌー、ボート、セーリングのメダリスト数2622682502432562963231

生まれ星座の略号は、ARI(おひつじ)、TAU(おうし)、GEM(ふたご)、CAN(かに)、LEO(しし)、VIR(おとめ)、LIB(てんびん)、SCO(さそり)、 SAG(いて)、CAP(やぎ)、AQU(みずがめ)、PIS(うお)です。

生まれ星座の区分は、ミッチェル氏の区分Zodiac Months と同じものを使っています。

全競技のメダリストの生まれ星座分布に関して、私が集計したカヌー、ボート、セーリングで補完したミッチェル氏のデータと、私が集計したデータを比較すると以下のようになります。

Hoshitaniの集計データと、Mitchell氏の集計データ(カヌー、ボート、セーリングのメダリスト数をHoshitaniの集計データで補完したもの)との比較
生まれ星座ARITAUGEMCANLEOVIR
全競技メダリスト数(Hoshitani)197817831794180217431708
全競技メダリスト数(Mitchell)199717971801181817621768
生まれ星座LIBSCOSAGCAPAQUPISTotal
全競技メダリスト数(Hoshitani)17251647169618311986192021613
全競技メダリスト数(Mitchell)16941666170618571993194221801

2つの分布を比べると、おとめ座の生まれに違いがあるように見えますが、この2つの分布の間でカイ2乗独立性検定を行うと、カイ2乗値は1.29、p値は0.9998となり、2つの分布の違いは統計的に無視できるものであって、私の集計データとミッチェル氏の集計データは同等のものであると言ってよいことが分かります。

したがって、以降では、私の集計データを使って、オリンピックメダリストの生まれ月、生まれ星座の分布について考えていくこととします。

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