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うお座効果は本当に存在するのか (8)

  • 2008-09-15 (Mon) 18:00
  • 統計

うお座効果に関するこれまでのエントリーは以下の通りです。

前回のエントリ「うお座効果は本当に存在するのか (7)」では、以下のことを書きました。

  • 水泳単独、水球単独のメダリストの生まれ月/星座分布に有意な偏りはない。したがって、水に関係が深い競技はうお座生まれが多いという「うお座効果」の存在は実証できない。

  • 水泳、水球のいずれかでメダルをとった競技者(水泳・水球のメダリスト)は、生まれ月/生まれ星座のいずれの分布も有意な偏りが見い出せるが、これは、水球のメダリストの分布が水泳にはない特徴をもっており、2つの競技の分布を重ね合わせると、それぞれの分布がもつ傾向の異なる偏りが合成され、見かけ上、重ね合わせた分布の偏りが増大するためである。

水泳のメダリストの分布に水球のメダリストの分布を重ね合わせることで、11月生まれが少ない、さそり座生まれが少ないという、水泳単独の分布にはなかった、水球独特の特徴が現われたわけですが、これは何に由来しているものなのでしょうか。

そこで、水泳・水球のメダリストの分布を国別にみてみました。詳細は割愛しますが、50名以上の水泳・水球のメダリストをもつ国で、水泳・水球メダリストの生まれ月/生まれ星座の分布が、すべての国のすべての競技の分布に対して有意な偏り(有意水準5%)をもつのは、生まれ月に関しては、ソ連、オーストラリア、ハンガリー、生まれ星座に関しては、ソ連、ハンガリー、日本でした。このうち、11月生まれが少ない、さそり座生まれが少ないという傾向をもつものは、ハンガリーのみでした。

ハンガリーは、「うお座効果は本当に存在するのか (7)」でみたとおり、水球メダリストの出身国第一位の国であり、水球の分布を特徴づけている典型的な国であり、ハンガリーの分布によって水泳・水球の分布の有意な偏りが生じている可能性があります。

このことを端的にみるために、ハンガリーを除いた水泳・水球メダリストの生まれ月/生まれ星座分布と、すべての国のすべての競技の生まれ月/生まれ星座分布から計算される期待値を比べてみました。結果を以下の表に示します。表の中で、カイ2乗値とp値は、カイ2乗適合度検定を適用した結果です。

ハンガリーを除く水泳・水球メダリストの生まれ月分布と、すべての国のすべての競技メダリストの生まれ月分布に基づく期待値
生まれ月1月2月3月4月5月6月
ハンガリーを除く水泳・水球メダリスト数154151155122153134
期待値(全競技)148.49136.45143.41129.27133.91125.43
生まれ月7月8月9月10月11月12月Total
ハンガリーを除く水泳・水球メダリスト数128132108123109981567
期待値(全競技)129.49119.05128.26125.72122.82124.701567.00
カイ2乗値 = 18.37、p = 0.0734
ハンガリーを除く水泳・水球メダリストの生まれ星座分布と、すべての国のすべての競技メダリストの生まれ星座分布に基づく期待値
生まれ星座ARITAUGEMCANLEOVIR
ハンガリーを除く水泳・水球メダリスト数136141142138123114
期待値(全競技)143.41129.27130.07130.65126.37123.83
生まれ星座LIBSCOSAGCAPAQUPISTotal
ハンガリーを除く水泳・水球メダリスト数1241031101221411731567
期待値(全競技)125.07119.41122.96132.75143.99139.211567.00
カイ2乗値 = 16.59、p = 0.1206

上の表から分かる通り、有意水準5%でみたとき、ハンガリーを除いた水泳・水球メダリストの生まれ月/星座分布は、すべての国のすべての競技の生まれ月/星座分布から計算される期待値に対して、有意な偏りをもっていません。

ハンガリーを除くことでデータ数が減ったために、有意な偏りが検出されなくなったのではないかという疑問に端的に答えるために、水泳・水球メダリストの出身国第一位である米国を除いた水泳・水球メダリストの生まれ月/星座分布と、すべての国のすべての競技の生まれ月/星座分布から計算される期待値を比べた結果を以下の表に示します。

米国を除く水泳・水球メダリストの生まれ月分布と、すべての国のすべての競技メダリストの生まれ月分布に基づく期待値
生まれ月1月2月3月4月5月6月
米国を除く水泳・水球メダリスト数130122127114126113
期待値(全競技)123.00113.03118.79107.08110.92103.90
生まれ月7月8月9月10月11月12月Total
米国を除く水泳・水球メダリスト数108114868884861298
期待値(全競技)107.2698.61106.24104.14101.74103.301298.00
カイ2乗値 = 19.72、p = 0.0493
米国を除く水泳・水球メダリストの生まれ星座分布と、すべての国のすべての競技メダリストの生まれ星座分布に基づく期待値
生まれ星座ARITAUGEMCANLEOVIR
米国を除く水泳・水球メダリスト数124115118121103
期待値(全競技)118.79107.08107.74108.22104.68102.58
生まれ星座LIBSCOSAGCAPAQUPISTotal
米国を除く水泳・水球メダリスト数959077911071081491298
期待値(全競技)103.6098.91101.86109.96119.27115.311298.00
カイ2乗値 = 22.67、p = 0.0197

上の表から分かる通り、有意水準5%でみると、米国のメダリストを除いたとしても、相変わらず、水泳・水球メダリストの生まれ月/星座分布は有意な偏りをもっています。

以上のことから、水泳・水球メダリストの生まれ月/生まれ星座分布がもつ有意な偏りには、ハンガリーの水泳・水球メダリストの分布の偏りが大きく貢献していることが分かります。水泳メダリストの生まれ月/生まれ星座分布に水球メダリストの分布を重ね合わせると、水球メダリストの出身国第一位であるハンガリーの分布の影響が強くなり、11月生まれ、さそり座生まれが少ないというハンガリー独特の分布に引きずられて、水泳・水球メダリスト全体の分布の偏りが増大することになるのです。

スポーツ選手の生まれ月分布の偏りは、学校の始業次期やスポーツ組織の年齢制限の区切り月といったことに影響を受けることが知られており、偏り方は国によって異なります。したがって、数多くの国のメダリストの生まれ月分布や生まれ星座を重ね合わせると、国によって傾向の異なる偏りをもつ分布が、互いに影響を与え、結果として合成される分布には、思っても見ないような偏りが生じる場合があるのです。水泳と水球の分布を重ね合わせると分布の偏りが増大するのも、そういった理由によるものです。不思議な現象ではありません。

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