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歴史 Archive

John Frawley Carter Memorial Lecture – The Western Tradition in Astrology

John Frawley氏が9月21日に「The Western Tradition in Astrology 」というタイトルで行ったCarter Memorial Lectureの書き起こしが、占星術関連のMLに流れてきたので、読みました。賛同できるところも多かったのですが、大変驚いた箇所がありました。

Frawley氏は講演の中で次のように主張なさっています:

占星術の西洋の伝統は、唯一神教(monotheism)の伝統である。それは、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒の占星術である。この占星術は、相対主義(relativism)に根ざす如何なる占星術にも対抗してきた。エジプト占星術;ヘレニズム占星術;インド占星術;今日において一般に実践されている占星術;これらの占星術は、西洋の占星術の伝統の一部ではない。これらの占星術は、その骨組みを作っている哲学によって、(西洋の占星術の)伝統よりも、互いの間に多くの類似点がある。

変に直訳しているので、分かりづらいかもしれませんが、大意はつかめると思います。

占星術に唯一神教の影響が濃いことは分かりますが、アブラハムの3宗教の伝統に根ざすもの以外は、西洋の占星術の伝統ではないというのは、言い過ぎではないでしょうか。

ネットで検索してみたら、Skyscriptサイトのフォーラムで、今年の2月に、Apprenticeのロシア語翻訳が出版されるときの序文において、Frawley氏が同じことを書いていることが話題になっていました。Skyscriptフォーラムの当該スレッドは以下の通りです:

上のスレッドで取り上げられている「序文」のPDFへの直リンクは以下の通りです。PDFへの直リンクなので、ブラウザの表示が遅れるかもしれません:

上のスレッドの中でも言われていることですが、4世紀あたりまでのヘレニズム世界での宗教事情は、単純ではなく、色々な宗教の考え方が入り混じっていて、一神教の考え方が他を圧倒していたわけではないと理解しています。そういう環境の中で実践されてきた占星術が、唯一神教のみを伝統とすると言われても、簡単に受け入れることはできません。

歴史観は人それぞれなので、どんな歴史観をもっていようとも自由ですが、独特の歴史観に基づいて、自分と自分以外を区別するのは、やや怖い感じがします。そういうこととは関係なく、Frawley氏の書く占星術の本は、とても役に立ち、楽しいものなので、歴史観なんてどうでもいいじゃないかと言えばそうなのですが、それにしても、説明不足かなという感想をもちました。

Joseph Craneのヘレニズム占星術紹介

Joseph CraneがMountain Astrologerの最新号にヘレニズム占星術(Hellenistic Astrology)についての紹介記事を書いています。

  • Joseph Crane: A Practical Introduction to Hellenistic Astrology, The Mountain Astrologer, Issue 138, April/May 2008, pp.65–73 (2008).

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太陽星座占いはどれほど前からあるのか

鏡リュウジのRyuz-cafeで紹介されていたKim Farnellの「Flirting with the Zodiac」が「太陽星座占いの起源を精緻にギリシャまでたどっていった意欲作」 ということで紹介されていたので,読んでいるところです: 太陽星座占いの「起源」

Flirting with the Zodiac
Kim Farnell
1902405234

最初から脱線ですが,占星術では,春分点を基点に黄道を12区分したものの一 つ一つをサインと呼んで,反時計回りに順に牡羊,牡牛,…,魚と名づけてい ます.夜空の星座とは異なるので,星座とは呼ばずに,サインと呼ぶのが流儀 となっています.

なので,「太陽星座占い」ではなくて,「太陽サイン占い」とでも言うべきで しょうという声が聞こえてきそうですが(実際,Kim FarnellはSun Sign Astrologyと呼んでいます),日本語で「太陽星座占い」は一般に浸透した表現 であるので,このエントリでも太陽星座占いと書きます.また,分かりやすさ のため,ホロスコープで太陽が入るサイン(太陽サイン)のことを太陽星座と 呼びます.正確さより,伝わることの方がよほど大事なので.

で,太陽星座占いというのは,人が生まれたときのホロスコープの太陽星座を 使って,

  1. その人の性格を占う
  2. その人に起きる出来事を占う

という2つの占いを言います.

雑誌,テレビ,ラジオ,ネットの上でよく見かける,「ふたご座のあなたの性 格は」とか,「今月のおとめ座の運勢は」といった占いのことです.ポピュラー な星占いです.

ちなみに,太陽星座占いは,誕生日星占いともばれて,誕生日から自分の太陽 サインを見つけて占うのが一般的ですが,サインとサインの境目あたりに生ま れた人は,実際には,出生時間が分からないと,自分の太陽星座は導き出せま せん.

というのも,太陽は,毎年同日に黄道上の同じポイントに正確に戻ってくるわ けではないですし,太陽が,日本時間において日付が変わるのに合わせて,都 合よく一つのサインから次のサインに移動してくれるわけではないからです.

そういう困難さはあるのですが,多くの人は,問われれば自分の太陽星座を答 えることができ(間違っているかもしれませんが),太陽星座占いは多くの人 にとって馴染みのある占いとなっています.

太陽星座占いがどれほど前から存在するのか,ということに関しては,鏡リュ ウジのRyuz-cafe  にもあるように,1930年にR.H.Naylorが新聞に太陽星座占いのコラムを書いた のが最初であるというのが,よくある説明ですが,Kim Farnellは, 「Flirting with the Zodiac]の中で,そうではないと言います.

「太陽星座占いがどれほど前から存在するのか?(How old is Sun sign astrology?)」という問いに対するKim Farnellの答えは,「占星術と同じくら い古いように思える(The answer appears to be that it’s as old as astrology)」です.

Kim Farnellは,太陽星座占いは,すぐに捨てられる性質のもの(disposal and ephemeral)であるため,なかなか記録には残りづらいと言っています.さ らに,太陽星座占いは,普通の人々のための占いであり,より複雑な占星術に 必要な計算を行うための技量をもってない人々,あるいは,そういったことを 行うことには関心がない人々のためのものであるとも言っています.

しかし,それでも,太陽星座に言及している古代の文献を見つけることはでき て,Kim Farnellは,幾つかその例を示しています.その一つは,死海文書 (Farnell によると紀元前3世紀から起源後68年)であり,牡牛サインの下に生 まれた人間の容姿などについて書かれています.さらに,Kim Farnellは,太陽 サインについて言及した古代ギリシャ・ローマの文献を幾つか示しています. それらの文献では,太陽星座と人間の容姿,性格などの関連が書かれています.

確かに,このように考えると,今日知られている太陽星座占いのうち,太陽星 座を使って,その人の性格を占うということに関しては,その起源を古代ギリ シャ・ローマ,あるいはそれ以前に遡れると言えるのだと思います.

冷静に考えると,人にとって太陽は最も重要な天体であり,よく観測した天体 であったはずなので,太陽星座占いが占星術と同じくらい古いというのは,そ れほど驚くべきことではない主張なのかもしれませんが,文献を地道に追って いって,主張をサポートする証拠を示しながら,説得力をもって論じるという のは,非常によい仕事だなと思います.

7人のRaphael

占星術に関心のある方は,19世紀に活躍した Raphael という占星家の名前をご 存知の方も多いと思います.

19世紀に書かれた文献として,Raphaelが書いた文献が参照されることも多いで す.ところが,このRapahelという名前をもつ占星家は,実は複数人いて, Raphaelと言っただけでは,どの Raphael か特定したことにはなりません.

Kim Farnell によれば,19世紀に Raphael という名前の占星家は7人いたのだ そうです.私も,Raphael は複数人いたということは聞いたことがあったので すが,7人もいたとは,勉強不足で知りませんでした.

Skyscript: Seven Faces of Raphael – by Kim Farnell

The first Raphael と呼ばれる Robert Cross Smith (1795-1832)と Robert Thomas Cross (Frederick Robert TuckCross)(1850-1923)が有名でしょう か.この二人は,本名までもが似ているので,同一人物として間違えられるこ とが多いようです.

なぜ占星家たちはRaphaelという名前を名乗りたがったのかということも,Kim Farnell は次のように説明しています.

  1. 7大天使の中で,Raphaelは水星と関連づけられることが多く,且つ,水星 は伝統的に占星術の支配星であるので,”Raphael”は占星家の仮名として魅力的 であったのだろうこと.

  2. 19世紀の多くの占星家は,別に本職をもっていたので,個人情報を隠すため に,占星家としての活動では天使に由来する名前を使うことがあったこと.

  3. 当時のイングランドにおける主導的な占星家の中には,オカルト結社のメン バーであったものも多く,そのの活動は秘密にしておく必要があったこと.

また,Raphaelという名前は,ある種のブランドであり,Raphaelという名の下 に編集されたProphetic Messengerという雑誌や,Raphael’s Ephemerisという 占星暦を引き継いでいくという理由もあって,7名もの人がRapahelという仮名 で活動したのでしょう.

現代に当てはまるところも多いです.1に関して言えば,現代においても,占星 術や占いの伝統と親和性のあるような仮名を好んで使う方はいらっしゃいます. 2に関しても,ネット上の活動において,ジャンルを問わず,理由は色々あ ると思いますが,仮名を使う方は多いです.3に関してはよく分かりません.ち なみに,私は,いかなる結社にも所属しておりません(^^.

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