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参議院選挙(2)

先のエントリ「参議院選挙」 では,2007年の春分図を題材にして,参議院選挙と選挙後の動きについて考え ました.大方のメディアで言われている予測と同じく,春分図においても,与 党不利,野党有利であることが読み取れました.

また,春分図における参議院の状態が不安定であることから,選挙の後,与党 が,国民新党と連携したり,新党日本や民主党からの離脱者を取り込んだとし ても,与党が参議院で過半数を維持することは難しいのではないかと書きまし た.

先のエントリ「参議院選挙」 で書いたことの概要は以上の通りですが,さらにうだうだと考え続けていて, 参議院の状態が不安定であるというのは,与党と野党のいずれが過半数を占め るのか,曖昧な状態もありえるのではないかと思いつきました.国民新党や, 無所属の議員が,条件付きで与党と連携したり,法案ごとに連携するかどうか を決めるような場合です.そういった場合には,厳密に言えば,自民党と公明 党の連立与党も,民主党を中心とした野党も,どちらも過半数をもっていない という状況になります.参議院の状態は,やはり不安定なものとなります.

さて,春分図のアセンダントは柔軟サインの双子でした.William Rameseyの Astrology Restored (1653)によれば,春分図のアセンダントが柔軟サインの場 合は,四季図のうち,春分図と秋分図を見なさいとされています.そこで,こ のエントリでは,秋分図について考えてみます.東京の2007年秋分図を以下に 示します.

sun libra ingress chart 2007 tokyo
2007年秋分図(東京)

秋分図は2007年9月23日のホロスコープになります.秋分図が支配するのは 2007年秋分から2008年の春分までの期間であり,秋分の時点では7月の参議院選 挙は既に終わったことですが,参議院選挙の結果起きる出来事や情勢は,この 秋分図に示される可能性があると考えます.

また,今年の9月の段階で,政権与党が民主党になっているとは考えづらいので, この秋分図の段階でも与党は自民党と公明党の連立与党であるとします.

秋分図はアセンダントが牡羊28度,ルーラーは火星です.与党,野党,衆議院, 参議院それぞれのハウス,ハウスカスプのサイン,ルーラーは以下の通りとな ります.

与党:10ハウス,サインは山羊,ルーラーは土星.
野党:4ハウス,サインは蟹,ルーラーは月.
衆議院:11ハウス,サインは水瓶,ルーラーは土星.
参議院:5ハウス,サインは獅子,ルーラーは太陽.

春分図と同じく,秋分図でも与党は土星となります.土星は衆議院のルーラー でもあります.土星は,乙女に入ったところです.獅子にあったときよりは状 態が良くなっていますが,ペレグリンであり,テイルと合です.ハウスは,参 議院を表す5ハウスにあります.

ペレグリンには流浪するという意味があることから分かるように,ペレグリン な天体は,自らの力で道を切り開いていくことは不得意であり,安定した働き をしづらいです.

状態の良くない天体がテイルと合になると,悪い影響が減ぜられるという考え 方もありますが,政党は善であろうと悪であろうと,自らの意思で動くことが できないなら,指導力を発揮できないわけで,むしろ,この場合,テイルと合 のペレグリン土星は,落とし穴に嵌って動けない状態にあると考えるのが適切 でしょう.また,テイルとの合は,スキャンダルとも読めます.これまで閣僚 の問題が続いてきましたが,選挙後はどうなるでしょう.

乙女の土星は,天秤の水星とディグニティを交換しています.水星は,行政 サービスや公務員を表す6ハウスのルーラーであり,メディア・報道を表す3ハウス のルーラでもあります.水星は,7ハウスカスプ近くのアングルにあって,トリ プリシティのディグニティをもっており,状態は悪くないです.公務員制度改 革と言いつつ,結局,抜け道だらけの制度改革にならないか,その見返りとし て,与党の政局運営に公務員(省庁)が協力するようなことにならないか,よ く見ておくとよいと思います.また,メディアと与党との関係も注視すべきで でしょうね.

野党を表す月は,水瓶にあって,ペレグリンです.与党を表す土星もペレグリ ンでしたから,野党も与党も実行力に欠けます.月(野党)は,11 ハウスのカ スプに近いので,衆議院を表す11ハウスにあると考えてよいでしょう.月(野 党)は,与党が多数を占める衆議院でふらふらした状態にあります.

参議院を表す太陽は,天秤にあってフォールです.春分図における5ハウスルーラー 水星と同じく,安定せず,力がありません. 太陽(参議院)は6ハウスにあります. 6ハウスは,行政サービスや公務員を表します.天秤の太陽は,獅子の金星と,ディグニティを 交換しています.金星は,経済を表す2ハウスのルーラーであり,5 ハウス(参 議院)にあります.年金といった経済に関わること,社会保険庁のような行政 サービス・公務員に関わることが密接に関連していて,そういった事柄が参議 院での話題となっていくということでしょう.

月(野党)は木星とのセクスタイルから離れて,金星(2ハウスルーラ)とのオ ポジションに向かっています.参議院で議論される経済に関連する法案は,野 党の満足できるものではないことを示しているように見えます.

以上のように考えていくと,与党を表す土星は5ハウス(参議院)でペレグリン, 野党を表す月は11ハウス(衆議院)でペレグリンですから,どちらも強くあり ません.土星は水星とのディグニティの交換より強められていますが,テイル との合により力が弱められています.与党も野党も決定力に欠けるように見え ます.

衆議院(11ハウス)では,与党が多数であり,野党(月)はなすすべがなく, 参議院(5ハウス)では,与党(土星)がふらふらしている, 衆議院(土星)で何かを決めても,参議院(5ハウス)では力をもたない, 参議院(太陽)も力が弱い,そういったように読めます.

やはり,参議院選挙の結果,参議院では,野党が過半数をとったり,あるいは, 連立与党も野党も過半数を占めることができず,他の政党や会派がキャスティング ボートを握るといったことになって,不安定な政局運営になるのではないかと思えます.

野党も強くないということは,野党が参議院選挙で勝ったとしても,それによっ て,野党が圧倒的な力をもって,与党を押していくということにはなりづらく, また,与党が,法案を通すために,野党案を丸呑みするようなことにもならな いと考えます.

国の総体的な状態を表す1ハウスのルーラー火星もペレグリンです.政局の運営 が不安定な状態となり,大切なことを決定できない状態になることがが危惧さ れます.

火星(国の総体的な状態),土星(与党,衆議院)もディスポジターが水星で す.水星は3ハウス(報道,メディア),6ハウス(行政サービス,公務員)の ルーラーです.そして,水星は,ペレグリンではなく,ディグニティをもち, アングルにあって強いです.水星は7ハウスカスプの近くにあり,1ハウスに相 対する場所にあります.メディアや,官僚に踊らされて,重要な決定を下すこ とができず,迷走状態になることは避けたいものです.

参議院選挙

参議院選挙の投票日7/29が迫ってきました.メディアでは,自民党は非常に厳 しい状況であり,民主党の有利を伝えています.選挙の結果,自民党と公明党 の連立与党の獲得議席は過半数を割るであろうというのが大方の予測です.

現在の関心の焦点は,選挙結果が与党敗北であったとしても,選挙後,国民新 党との連携や,新党日本や民主党からの離脱者の取り込みなどによって,与党 が過半数の議席を維持できる程度の小敗北なのか,あるいは,そんなことをし ても到底過半数維持は望めない大敗北なのか,ということにあるようです.

私には小敗北と大敗北との境目が何議席なのかは,よく分かりません.選挙で 自民党が45議席とれば,負けは負けにせよ,選挙後のゴニョゴニョした動きに より過半数は維持できるという話もあるようですが,そのあたりの数読みはよ く分かりません.

与党大敗北で,参議院で過半数を失った場合,衆議院と参議院でねじれ現象を 起こし,国会運営はごたごたするでしょうね.衆議院の優越 (衆議院可決後に法案が参議院で否決されても,衆議院で3分の2以上の賛成を もって再度可決すれば,衆議院の議決が国会の議決となるなど)があるいって も,直近の選挙結果を無視するのかと批判され,内閣支持率に跳ね返るでしょ うし,民主党の法案を丸呑みすれば,存在感を失い,ジリ貧でしょうし.また, 野党側も,参議院で否決や議決しないことを繰り返していると,国民からそっ ぽを向かれるかもしれません.

このあたりの状況について,占星術の観点からホロスコープをながめてみます. 世相を占うマンディーン占星術では,四季図,新月図,満月図,イベント図と いったホロスコープを用います.なかでも,太陽が牡羊に入る春分図は,一年 の状況を象徴的に表すホロスコープです.2007年の東京での春分図は次の通り です.

sun aries ingress chart 2007 tokyo
2007年春分図(東京)

先のエントリ「2007年春分図(東京)」 でも書いたように,年金問題や社会保険庁の問題が顕在化した時点から後付け で観ると,この春分図には,経済やお金に関わる問題や,行政サービスに関わ る問題で,国民の不満が高まったり,政府の力が弱まることが示されているよ うに見えます.

春分図で,政府や与党などの権力側は10ハウスが表します.10ハウスは水 瓶で,ルーラーの土星は獅子にあってデトリメントですから,質がよくないで す.そのうえ,土星は火星からオポジションを受けていて,さらに痛んでいま す.火星は,行政サービスや公務員に関連する6ハウスのルーラーです.

1ハウスは,国の状態を総体的に表します.1ハウスルーラーは水星です.水 星は,魚にあって,デトリメント且つフォールとなり,状態が悪いです.しか も,水星は10ハウスにありますから,政府に対して失望している状態です.

これに対して,野党の状態は,10ハウスに対抗する4ハウスで表されるとす ると,4ハウスカスプ(IC)には状態の悪い土星がありますから,必ずしも,状 態が良いとは言えず,政府(土星)から攻撃を受けるのでしょうが,4ハウス ルーラーの太陽は,牡羊でエグザルテーションですから,勢いがあります.

野党(4ハウス)を支配する太陽は,11ハウスにあります.11ハウスには 様々な意味がありますが,その一つの意味は衆議院です.どうして野党が衆議 院で勢いづいているのだろうと,最初は思ったのですが,よく考えると,野党 が年金記録の問題で政府を追及したのは,衆議院の場であり,その急先鋒は, 民主党衆議院議員の長妻昭さんでした.

長妻さんの出生時間は不明なので,誕生日の太陽カルミネート時のホロスコー プを以下に示しますが,面白いことに,長妻さんの出生時の牡羊火星と, 春分図の11ハウス月が1度差の合です.

akira nagatsuma natal chart (sun culminate chart)
長妻昭衆議院議員の出生図(出生時間不明のため,太陽カルミネート時のホロスコープ)

春分図の月は,国民の関心の対象を表すとともに,2ハウスのルーラーですか ら,経済も表します.その春分図の月が,年金問題を追及した長妻さんの出生 時の火星と合になるわけです.国民の関心の方向と長妻さんの行動,追及の方 向が合致したと考えると,面白いと思いませんか.

長妻さんの出生時間は分からないので,何ら確定的なことは言えませんが,長 妻さんの出生図では,土星,木星,火星のいずれかが,チャートルーラーにな ると思います.推測の域は出ませんが,長妻さんの出生図にとって,火星は重 要な天体なのかもしれません.

さらに脱線しますが,11ハウスの太陽(野党),月(国民の関心,経済)の ディスポジターは火星ですが,火星は,社会保険庁のような行政サービスを表 す6ハウスのルーラーです.意味深です.

さて,春分図に戻ります,衆議院は11ハウスが表すと書きましたが,参議院 は,これに対抗する5ハウスが表すという考え方があります.5ハウスは乙女 で,ルーラーは水星です.1ハウスのルーラーと同じです.水星は10ハウス 魚にあって,デトリメント且つフォールで,質が悪いです.参議院の状態は不 安定であり,国の状態の不安定さと根が同じです.

この春分図のみから判断すれば,与党よりも野党の方が強いです.経済の問題, 行政サービスの問題が影響して,与党に対する不満が高まります.参議院の状 態は不安定です.これは,現在の状況そのままであり.新情報はないわけです が,参議院の状態が不安定ということは,与党は過半数を維持できないのでは ないかと思わせます.春分図のみからの判断なので,占星術的根拠は弱いです が.

Liber Astronomiae の英語完訳本が出版されます

Benjamin Dykesが,Guido BonattiのLiber Astronomiae (The Book of Astrology)の完訳(英語)を出版します. 申し込みは受付中で,出版は7月15日になる予定だそうです.

Benjamin Dykesは,中世占星術(Medieval Astrology)の研究者・実践家です. イリノイ大学でPhD(哲学)を取得し,大学での7年間の教職経験(古代・中世 の哲学)ありというアカデミックな経歴の持ち主です.一方,子供の頃から西 洋の魔術の伝統に深く関わってきた人でもあり,Robert Zollerの中世占星術コー スを修了した後は,占星術の研究者・実践家としての仕事に注力しています (参考).

彼は,これまでも伝統占星術の幾つかの翻訳に携わってきましたが,今回, BonattiのLiber Astronomiaeを現代英語に完訳するというのは, 占星術のコミュニティにとって大きなインパクトをもつ仕事です.

Guido Bonattiは13世紀イタリ アの占星家です.西ヨーロッパの占星術の伝統は,西ローマ帝国が滅びた後, いったんは潰えます.占星術の伝統は,アラブ世界へと移り,発展をとげるわ けですが,彼の著したLiber Astronomiaeは,アラブ世界で発展した占星術を西 ヨーロッパに改めて移植する上で,大きな役割を果たしました.Bonatti以後の 占星家は,Liber Astronomiaeに大きな影響を受けており,現代においても,占 星術の伝統をよく理解するために重要な著作となっています.

これまで,Liber Astronomiaeは,一部しか現代英語訳が出版されておらず,全 てを読もうとするとラテン語で読む必要があるという高い障壁がありました. 今回のBenjamin Dykesの仕事により,現代英語で全てを読むことができるよう になるわけで,現代における伝統占星術への関心をいっそう拡げ,我々がもっ ている占星術の伝統に対する理解をさらに深めてくれることになると思います. 1980年代におけるChristian Astrologyの再発見と比べることができるほどの画 期的な出来事という評価も目にしました.

本は現在印刷中で,出版は7月15日の予定です.購入の申し込みは Ben Dykesのホームページから行うことができます. 価格は,今だと289.95ドルです.分量は1583ページです.

高価な本ですし,分量は1600ページ弱と長大なものなので,広くお奨めできる ような本ではありませんが,私にとっては,BonattiのLiber Astronomiaeが 現代英語で読めるというのは,あまりに魅力的なことなので,メールで知らせを 受けた後,即座に申し込みました.手にするのが楽しみです.

Windows Vistaでの占星術ソフトウェア

自宅PCをWindows Vista にしました.

プリインストールされていたOSはVista Home Premiumでしたが,暗号化機能をもっていないので,Vista Ultimateにアップグレードしました.メモリは2GB積んでいます.

個人用のPCでVistaがプリインストールされているモデルは,メモリが1GBのものが多いですが, Vista以外に,セキュリティソフトや各種アプリケーションを走らせることを考えると,メモリは2GB搭載することを薦めます.

占星術ソフトウェアは以下のものが動きました.

  • Solar Fire 4
  • Placidus NK 4.1
  • Stargazer 93
  • AstroDatabank 3.0

Solar Fire 4 は,Vistaではフォントがうまくインストールできないという問題があるので, Vista Compatibility Chartにあるように, インストールCDに入っている(Disk3という名前のフォルダに入っているはずです) Etastro.ttf , etsans.fon , etastrob.ttf というフォントを手動でインストールします. Solar Fire 4 と ACS PC Atlasのパッチも忘れずに当てます.

Vista Ultimateは,多言語インターフェイス用言語パックが使えるので,英語パックの下でSolar Fire 5が使えるようになるかと期待していたのですが,無理でした.日本語Vistaでも,日本語XPと同様に,Solar Fire 5は占星術シンボルのフォントがうまく表示されません.

Stargazerは最新版をもっていないので,確認していないですが,Vistaでも問題なく動作するとのことです(参考).

AstroDatabankは,Vistaでは問題が発生するようですが(参考), 単にデータを検索する程度なら動作しているように見えます.

とりあえず,私にとって最低限必要な占星術ソフトウェアは動作することは確認できました.

あと,エディタはMeadow,ブラウザはFirefox,Sleipnir,メーラーはThunderbirdを使っていますが, 問題なく動いているようです.

2007年春分図(東京)

東京での2007年春分図です.

sun aries ingress chart 2007 tokyo

おそらく,占星術に専門的な関心を寄せている方々の多くが,この春分図に 興味をもって観ておられるであろうと思います.

後付けですが,現在実際に起きていることと照らし合わせつつ読んでみると, あれあれという春分図です.

1ハウスのカスプ(アセンダント)は双子です.柔軟サインなので,William RameseyのAstrology Restored(1653)によれば,一年間の前半(春分から秋分ま での期間)は,この春分図の影響を大いに受けることになります.

1ハウスのルーラーは水星で,10ハウス魚にあり,デトリメント且つフォールと いう,芳しくない状態です.1ハウスは,日本という国を総体的に表しますが, 不安で,失望した状態にあります.正常な判断ができるような状態ではないと も読めます.水星は10ハウスにあるので,不安で失望した状態は,政府,首相 などの権力者と関係が深いことを示しています.

月は大衆の関心の在り処を表します.月は,牡羊内を移動している間は他の天 体とアスペクトをとりませんが,牡牛に入ったとたんに,10ハウス魚の水星と アスペクトをとります.政府や権力者に対して,人々の関心が向いていること を示しています.月は,牡牛に入ると,エグザルテーションのディグニティを もつことになりますが,最初にアスペクトをとる天体が,10ハウスにある状態 の悪い水星です.エグザルテーションは「一気に高まりを見せる」ことを示し ますから,政府に対する不満が一気に高まるとも読めます.

月は,2ハウスのルーラーでもあるので,国の経済の不安定さも表しています.

このように,経済的な不安定さと関係して,失望感や不安感が醸成され,政府 に対する不満が高まることを示していると読むことができます.

10ハウスの状態を観ると,10ハウスカスプにはペレグリンの火星があります. 10ハウスは水瓶で,ルーラーの土星は,対向する4ハウス獅子にあって,ペレグ リンと状態が悪く,その状態の悪い土星が,10ハウスカスプと合の火星とオポ ジションです.政府の性急な判断は,質のよいものではないでしょうし,政府 の状態も芳しくありません.

10ハウスを傷つけている火星は,6ハウスのルーラーです. Skyscript: Ingresses, an Introduction to Mundane Astrology によると,6ハウスは,Civil Serviceとありますから,公務員的な仕事や行政 サービスと関係があると考えられるかもしれません.

このチャートは,Alchabitiusというハウスシステムですが,火星は,ホールサ インシステムでも,6ハウスルーラーとなって,同じ読み方ができます.

Placidusというハウスシステムだと,火星は,12ハウスルーラーとなって,よ く見えない問題(12ハウス)が政府を苦しめると読めます.この場合,金星が 6ハウスルーラーとなりますが,月は牡牛に入って,水星,金星と順にアスペク トをとっていきますから,ハウスシステムとしてPlacidusを使っても,公務員 や行政サービス(6ハウス)が政府の状態の悪さや,人々の不安や不満と関係が 深いことを示しています.

現在,年金の問題(国の経済),社会保険庁(公務員,行政サービス)の問題 で,人々も,政府も,揺れているわけですが,この春分図を後付けで観ると, そういった現在の状況をよく現しているように思えます.

あと,6ハウスは,病気と関係するハウスですがが,麻疹が流行していることも 想起されます.大学を示す9ハウスのルーラーは土星で,状態が悪いですし.

太陽星座占いとホロスコープ占星術

「太陽星座占いはどれほど前からあるのか」 では,今日知られている太陽星座占いのうち,太陽星座(太陽サイン)を使っ て人物の性格を占うということに関しては,その起源を古代ギリシャ・ローマ, あるいはそれ以前に遡ることができることを示した,Kim Farnellの仕事を紹介 しました.

多くの人にとって,太陽星座占いは,馴染み深いポピュラーな占いですが,占 星術にこだわりをもって取り組んでいる人の中には,太陽星座占いは,本来の 占星術を単純化した占いであり,本来の占星術とは異なるものだという言い方 をする人も多いです.

確かに,太陽星座占いのうち,太陽星座のみで人物の性格を占うという方法に 関しては,ホロスコープを使った占星術(ホロスコープ占星術)では,太陽以外 の天体も使うし,生まれた時間と場所で東の地平線に昇っていたサインの度数 (アセンダント)を起点にしてホロスコープを12分割したハウスシステムを 重要視するので,通常のホロスコープ占星術に比べると,太陽星座占いは 単純化した占いであるという言い方はできるでしょう.

太陽星座占いでも,太陽星座のみに基づいて性格を分類することにとどまらず, 太陽が入ったサインを起点にしたハウスシステム(ソーラーハウスシステム) を使って,出生時のホロスコープと,その時々の天体の動きを照らし合わせて, 運勢を占うという方法もあります.「今月の魚座の運勢は...」というのが そうです.

このタイプの太陽星座占いは,太陽以外の天体も使いますし,ソーラーハウス システムというハウスシステムも使うわけで,太陽星座のみを使って人の性格 を分類する占いよりも格段に複雑な占いです.しかし,ソーラーハウスシステ ムによる占いは,出生時間が数時間ずれても,占いの結果に大きな差は生じま せん.一方,通常のホロスコープ占星術では,出生の時間と場所に依存して決 まるアセンダントを起点にしたハウスシステムを使うため,出生時間が数時間 異なると,ホロスコープの解読結果に大きな差が生じます.この意味で,この タイプの太陽星座占いもまた,通常のホロスコープ占星術に比べると,単純化 した占いであるという言い方はできるでしょう.

このように,太陽星座占いが,通常のホロスコープ占星術をある側面で単純化 したものであるという見方は,間違っているわけではありません.かといって, さらに過激に,太陽星座占いは,自分達が実践しているホロスコープ占星術と は全く異なるもので,太陽星座占いは占星術ではないとか,太陽星座占いの存 在を無視するといったように,太陽星座占いを低く見るような態度にまで至る と,それは行き過ぎた態度であると思います.

太陽星座を使って,人物の性格についてあれこれ考えることは(もちろん,決 めつけは有害ですが),通常のホロスコープ占星術に比べると単純なものであ るとはいえ,占星術的思考の第一歩であることには間違いはありません.

また,太陽星座による一年間の運勢,今日の運勢といったものは,個々の出生 時間によって異なるホロスコープは反映していないから,通常のホロスコープ 占星術ではないなどと言っても,多くの人が,そういった太陽星座占いに親し みをもってくれていることは事実です.

壁にボールをぶつけて遊んでいる子どもや,三角ベースで楽しんでいる子ども たちを見て,君たちがやっていることは野球とは言えないなどと言うプロの野 球人がいるでしょうか.路上で思い思いにボールを蹴っている子どもたちを見 て,そんなのはサッカーとは言えないなどと言うプロのサッカー関係者がいる でしょうか.そういった子どもたちに遊び方を教える大人は,プロスポーツに とって有害だなどと言うプロスポーツ関係者がいるでしょうか.いたとしたら, それは,プロとしての自分の立位置を弁えない,意識の低い人でしょう.

プロの世界は,プロの世界のみで成り立っているのではなく,その分野に興味 をもってくれる多くの人々の裾野の広がりがあって,はじめて,プロの世界が 成り立っています.占いの世界も同じことが言えるのではないでしょうか.太 陽星座占いに親しみと関心をもってくれる多くの人々と,その太陽星座占いを 書いている人々は,占星術という分野の裾野を広げることに大いに貢献してい ます.そういう視点は忘れてはいけないと思います.

自分のスタイルを磨き,自分の独自性を打ち出すことは,とても重要なことで すが,それに加えて,上から下まで,右から左まで,内側も外側も,広く見渡 して,自分がなぜ存在していられるかを考えるという視点の持ち方も必要なの ではないでしょうか.

太陽星座占いはどれほど前からあるのか

鏡リュウジのRyuz-cafeで紹介されていたKim Farnellの「Flirting with the Zodiac」が「太陽星座占いの起源を精緻にギリシャまでたどっていった意欲作」 ということで紹介されていたので,読んでいるところです: 太陽星座占いの「起源」

Flirting with the Zodiac
Kim Farnell
1902405234

最初から脱線ですが,占星術では,春分点を基点に黄道を12区分したものの一 つ一つをサインと呼んで,反時計回りに順に牡羊,牡牛,…,魚と名づけてい ます.夜空の星座とは異なるので,星座とは呼ばずに,サインと呼ぶのが流儀 となっています.

なので,「太陽星座占い」ではなくて,「太陽サイン占い」とでも言うべきで しょうという声が聞こえてきそうですが(実際,Kim FarnellはSun Sign Astrologyと呼んでいます),日本語で「太陽星座占い」は一般に浸透した表現 であるので,このエントリでも太陽星座占いと書きます.また,分かりやすさ のため,ホロスコープで太陽が入るサイン(太陽サイン)のことを太陽星座と 呼びます.正確さより,伝わることの方がよほど大事なので.

で,太陽星座占いというのは,人が生まれたときのホロスコープの太陽星座を 使って,

  1. その人の性格を占う
  2. その人に起きる出来事を占う

という2つの占いを言います.

雑誌,テレビ,ラジオ,ネットの上でよく見かける,「ふたご座のあなたの性 格は」とか,「今月のおとめ座の運勢は」といった占いのことです.ポピュラー な星占いです.

ちなみに,太陽星座占いは,誕生日星占いともばれて,誕生日から自分の太陽 サインを見つけて占うのが一般的ですが,サインとサインの境目あたりに生ま れた人は,実際には,出生時間が分からないと,自分の太陽星座は導き出せま せん.

というのも,太陽は,毎年同日に黄道上の同じポイントに正確に戻ってくるわ けではないですし,太陽が,日本時間において日付が変わるのに合わせて,都 合よく一つのサインから次のサインに移動してくれるわけではないからです.

そういう困難さはあるのですが,多くの人は,問われれば自分の太陽星座を答 えることができ(間違っているかもしれませんが),太陽星座占いは多くの人 にとって馴染みのある占いとなっています.

太陽星座占いがどれほど前から存在するのか,ということに関しては,鏡リュ ウジのRyuz-cafe  にもあるように,1930年にR.H.Naylorが新聞に太陽星座占いのコラムを書いた のが最初であるというのが,よくある説明ですが,Kim Farnellは, 「Flirting with the Zodiac]の中で,そうではないと言います.

「太陽星座占いがどれほど前から存在するのか?(How old is Sun sign astrology?)」という問いに対するKim Farnellの答えは,「占星術と同じくら い古いように思える(The answer appears to be that it’s as old as astrology)」です.

Kim Farnellは,太陽星座占いは,すぐに捨てられる性質のもの(disposal and ephemeral)であるため,なかなか記録には残りづらいと言っています.さ らに,太陽星座占いは,普通の人々のための占いであり,より複雑な占星術に 必要な計算を行うための技量をもってない人々,あるいは,そういったことを 行うことには関心がない人々のためのものであるとも言っています.

しかし,それでも,太陽星座に言及している古代の文献を見つけることはでき て,Kim Farnellは,幾つかその例を示しています.その一つは,死海文書 (Farnell によると紀元前3世紀から起源後68年)であり,牡牛サインの下に生 まれた人間の容姿などについて書かれています.さらに,Kim Farnellは,太陽 サインについて言及した古代ギリシャ・ローマの文献を幾つか示しています. それらの文献では,太陽星座と人間の容姿,性格などの関連が書かれています.

確かに,このように考えると,今日知られている太陽星座占いのうち,太陽星 座を使って,その人の性格を占うということに関しては,その起源を古代ギリ シャ・ローマ,あるいはそれ以前に遡れると言えるのだと思います.

冷静に考えると,人にとって太陽は最も重要な天体であり,よく観測した天体 であったはずなので,太陽星座占いが占星術と同じくらい古いというのは,そ れほど驚くべきことではない主張なのかもしれませんが,文献を地道に追って いって,主張をサポートする証拠を示しながら,説得力をもって論じるという のは,非常によい仕事だなと思います.

先人の仕事を尊重しつつ,疑うこと

John Frawleyのレセプションの捉え方が,伝統的な占星術のレセプションとは 異なるものであるということを書いてきましたが,Robert Zollerも,著書の 「The Arabic Parts in Astrology: The Lost Key to Prediction 」の中で, ホロスコープを解読する際に,天王星,海王星,冥王星を現代的な解釈の下で 参照していますし,Lee Lehmanは,著書「The Martial Arts of Horary Astrology」の中で,パートナーを伝統的な7ハウスだけでなく,5ハウスにも当 てはめるということを試みているわけで,伝統占星術の権威と見なされている 人たちの仕事が,17世紀以前の伝占星術の伝統に徹頭徹尾沿っているなんてこ とは,なかなか言えることではありません.

もちろん,Zollerは,伝統の文脈の中で語っていたわけではないし,Lehmanも, 伝統から逸脱していることは分かった上で議論を展開しているわけで, Frawleyが,伝統的な技法の名の下に,それとは実際には異なる技法を示してい ることとは,質は違います.

しかし,いずれにせよ,この人の著書だけを読んでいけば,伝統占星術をよく 理解できて,安心なんてことは,まずありえません.

まず,伝統占星術といっても,不変で一貫した伝統が,いつの時代も変わらず に存在してきたとは,言いがたいです.占星術の歴史を振り返ると,古代ギリ シャ・ローマの占星術があって,その後,西ローマ帝国が滅び,ヘレニズムの 伝統が西ヨーロッパで潰えた後は,イスラム世界で占星術は発展し,その後, 12-13 世紀に西ヨーロッパに移植されたという過程の中で,様々な断絶,混乱, 付加などがあったはずです.

そういった長い歴史を通して,どのように占星術が変遷していったかについて, 正確に理解することは至難の技であり,整理されていないことや,よく理解さ れていないことは,まだだ多いです.そもそも,混乱や断絶があったわけなの で,首尾一貫した不変なものがあったことを前提として,議論を展開すること はできないのです.

したがって,伝統占星術の権威とみなされるような人でも,その人生の中で, 考えを変えていきますし,伝統占星術のコミュニティがもつ常識も,不変では なく,変わっていきます.

学問の領域では,自ら学んで,自分なりに考えていくとき,あるいは,もっと 進んだ人ならば,独自の仕事をなそうとするときは,権威や先人の考えや仕事 を尊重しつつ,それを疑うという,一見矛盾した態度が求められます.

占星術の実践家による占星術に対する取り組みが,現代的な意味で学問と言え るかというと,それは怪しいと思っていますが(科学史の対象として占星術を 捉える場合は,学問として成立するわけですが),少なくとも,占星術という 領域においても,ある信念体系(一つではありません)を共有するコミュニティ の中で,他者の考えを参照しながら自分の考えを形作っていったり,議論を通 して互いの考えに影響を与えるといったことは行うわけですから,やはり「権 威や先人の考えや仕事を尊重しつつ,それを疑う」という態度は価値あるもの です.それがないと,硬直化した,進展のない領域となってしまうからです.

日本の中で,占星術の伝統に専門的な関心をもつ人は少ないと思いますが, 「権威や先人の考えや仕事を尊重しつつ,それを疑う」ということを頭の隅に おきつつ,且つ,楽しみながら,やっていくとよいと思います.というか,自 分では,そういう感じでやっていきたいです.

私は,単なる素人で,能力から考えて,「占星術の伝統をよく分かった人」に はなれそうもないですが,今より年齢を重ねていったときには,自分より若い 人たちから色々と教えてもらうという状況を楽しみにしています.自分が「よ く分かった人」になるよりも,そちらの状況の方が楽しそうだし,占星術の伝 統のバトンが次の世代に渡されていったということを実感できるんじゃないか と思うので.

William Lilly’s Aged Man Chart

これまでのエントリで,伝統占星術におけるレセプションがどういうもの であり,Frawleyのレセプションの捉え方は,William Lillyも含めて伝統的な 技法とは異なるものである,ということを書いてきましたが,このエントリで 一段落させたいと思います.

これまで書いてきたことは, Deborah HouldingのSkyscriptフォーラム で議論されたことをまとめたものです.

フォーラムでの議論では,FrawleyとLillyのレセプションの技法を比較するた めに,Lillyによって提示された一枚のホラリー・チャートを例にとっていまし た.Frawleyが,自身のアーティクルの中で,彼の流儀に沿って,そのチャート を読んでおり,それがLillyの読み方との良い対比となっているためです.非常 に参考になるので,以下において,フォーラムでの議論を参考に,Frawleyと Lillyの読み方を対比させます.

William Lillyが示したホラリー・チャートとは次のものです.

“A Gentlewoman desired to know if she should have an aged man; yea or no” from William Lilly, England’s Prophetical Merlin, p.133.

質問者は女性で,相手は年をとった男性です.相手の男性は質問者の女性と結 婚したがっていて,質問者の女性はそれを受け入れようかどうかを尋ねている ホラリーです.

Lillyによるリーディングの全貌は,Deborah Houldingが自身のサイトに再掲 してくれていますので,そちらをご覧ください:Skyscript: Aged man?

このホラリー・チャートに関するFrawleyの解読は,「The Astrologer’s Apprentice, Issue 20, pp.10-14」を参照してください.

Lillyは,質問者の女性の表示体として1ハウス(乙女)のルーラーである水星 をとりあげ,相手の男性の表示体として7ハウス(魚)のルーラーである木星を とりあげます.Lillyは,質問者の表示体として月を使うことを陽に宣言してい ませんが,実際には月も質問者の表示体として使います.Lillyは,当たり前の ことなので,陽には宣言していないだけです.

Lillyは,次の2つのことから,質問者の女性は,最近,相手の男性と婚約 (treaty)を交わしたと判断しています.

  • 水星が木星とのセクスタイルから離れつつある
  • 月が木星とのスクエアから離れつつある

これは,アスペクトがいったんは成立したけれども,それから離れつつあるの で,過去の出来事と読んでいるわけです.

さらに,次の2つのことから,相手の男性はそのことを懇願した,切望した (importune)と判断しています.

  • 木星が水星をエザルテーションでレシーブしている
  • 木星がアセンダントとトラインである

水星は,木星がエザルテーションとなるサインにあって,且つ,木星と水星は, (離れつつあるけれども)セクスタイルのアスペクトをもっていました.した がって,木星(相手の男性)が水星(質問者の女性)をレシーブしているとい うレセプションが成立していることが分かります.このことから,木星(男性) は,水星(質問者の女性)の関心や好意を受け入れたと読むわけです.これは 伝統的な占星術におけるレセプションの捉え方と合致しています.質問者の女 性はホラリーを依頼しているぐらいですから,相手の男性に関心があったのは 当然でしょう.木星が水星をレシーブしていることから,それを質問者の男性 は喜んで受け入れたということが読みとれるわけです.

木星がアセンダントとトラインであることは,Deborah Houldingによると,相 手の男性が質問者の女性の見た目に惹かれたことを示しているということです.

Lillyが読んだことをそのまま理解すると,上のようになるのですが,この Lillyの読み方に関して,Frawleyは,誤解を生む(misleading)読み方であると 書いています(The Astrologer’s Apprentice, Issue 20, pp.10-14).

どういうことかと言うと,Frawleyは,彼の流儀のレセプションの考え方に基づ いて,水星が,木星がエグザルテーションとなる場所にあるのだから,水星が 木星をエグザルトする(恋焦がれる)という読み方になるのであればよいが, Lilly の書いているのは,その逆なので,誤解を生むと主張しているのです.

確かに,Lillyのこの部分のレセプションの使い方が,Frawleyのレセプション の使い方と矛盾することは確かです.しかし,Lillyのレセプションの使い方は, 占星術の伝統と合致するものであり,むしろ,Frawleyのレセプション技法が, 伝統とは異なるものなのです.自分の読み方とは違うから,Lillyのリーディン グが誤解を生むものと判断するのは,我田引水と言わざるをえません.

Lillyのリーディングに話を戻します.水星と月の次のアスペクトを見てみると, 水星は火星とスクエアのアスペクトをとり,月は火星とセクスタイルのアスペ クトをとります.このことから,Lillyは,質問者の女性は,相手の男性(木星) から,別の男性(火星)に関心や愛情を移したと読んでいます.水星は火星と 同じ度数でスクエアですから,ホラリーの時点では,女性の関心は別の男性 (火星)に移っていると考えたわけです.これは,速度の速い天体が状況を変 えていくということと,その速度の速い天体がどういったアスペクトを順に形 成していくか,ということから導き出されるリーディングです.ここまではレ セプションとは関係ありません.

さらに,Lillyは,次の理由で,質問者の女性の別の男性(火星)に対する関心 は,実を結ばないと判断しています.

  • 火星も月も不運なハウスにある(火星は8ハウス,月は6ハウス)
  • 水星も月も,火星が位置する場所でディグニティをもたない

水星(質問者の女性)と火星(別の男性)はスクエアですが,スクエアは困難 なアスペクトであること,火星は本来破壊的な天体であること,火星は8ハウス という不運なハウスにあることから考えて,このアスペクトは事を成就させる とは言えません.月(質問者の女性)と火星(別の男性)はセクスタイルです が,火星が本来破壊的な天体であり,両天体とも不運なハウスにあるという困 難さをセクスタイルではくつがえすことはできません.

もし,水星と火星のスクエア,月と火星のセクスタイルに,メジャーなディグ ニティ(サインルーラーやエグザルテーション)による強力なレセプションが 介在していれば,こういった困難さをくつがえすことはできるのでしょうが, そういったレセプションはありません.

水星や月が,火星が位置する場所でディグニティをもてば,レセプションが成 立するので,別の男性(火星)も質問者の女性(水星や月)に関心をもち,女 性もそれを受け入れて,事が成就するという読み方になると考えます.

Lillyは,質問者の女性が別の男性に好意を移したことは,アスペクトから既に 導き出しているので,そのことに加えて,もし水星や月が,火星が位置する場 所でディグニティをもてば,別の男性が質問者の女性に対して愛情をもち,そ れを女性が受け入れると読めるというだけのことなので,Lillyの書いているこ とは,伝統的なレセプションに沿ったものと捉えても,矛盾は生じません.

Frawleyは,Lillyが,火星(別の男性)が位置する場所で,水星や月(質問者 の女性)がディグニティをもつかどうかということから,別の男性が女性に関 心があるかどうかの判断を導いていることから,リーディングの最初にあった, 水星(質問者の女性)が位置する場所で,木星(相手の男性)がディグニティ をもつのにもかかわらず,逆に,相手の男性が質問者の女性との結婚を切望し たと読んだのと矛盾していると書いています(p.13).しかし,上に書いたよう に,Lillyが伝統的なレセプションの考え方に沿って読んでいると考えて, Lillyのリーディングに矛盾が生じることはないのです.

あと,Lillyは書いていないですが,水星や月が,火星がディグニティをもつ場 所にあれば,質問者の女性の愛情を別の男性が受け入れて,事が成就するとう いう読み方になると考えます.Lillyは,月が質問者の表示体になることをいち いち書かずに,そのことを前提としてチャートを読むということを普通にやっ ていますから,書いていないこと自体は別に不思議ではありません.このこと は,Lillyが陽に書いているにもかかわらず,それは誤解を生むから,無視しよ うというFrawleyの態度とは異なります.

もう一つ補足すると,Deborah Houldingによると,「天体Aが,自分が位置する 場所を支配する天体Bを愛する」というFrawleyの構図が,信頼度高く成立する のは,その天体が自身が支配するサインにあるときだけだと書いています.そ の場合,天体がアクシデンタルにどの位置にあるかに応じて,自尊心か自己愛を表すとい うことです(参照:Deborah HouldingによるThu Sep 22, 2005 5:35 のポスト). (これは,12ハウスなどにあれば,悪い意味での自己愛,アングルなどの強い場所にあれば,良い意味での自尊心を表すといったことを言っているのだと考えます.) このLillyのチャートの場合,火星(別の男性)は,自分が支配す るサイン(牡羊)にありますから,別の男性は,自分自身に関心があり,この ことも,質問者の女性の別の男性に対する愛情は成就しないことを示している と言えそうです.いずれにせよ,それは,レセプションとは無関係な議論です.

長々と書きましたが,John Frawleyが,現代を代表する伝統占星術の実践家で あること,彼の著作物が宝の山であることに,変わりはありません.ただ,彼 がレセプションと呼んでいるものは,伝統的にはレセプションと呼ぶべきで はなく,それこそ誤解を生んだり,本来のレセプションの技法を正しく理解す ることを妨げているということは指摘しておきたいと思います.

John Frawleyが言うところのレセプション

これまでのエントリで伝統占星術におけるレセプションについて書いてきました.

John Frawleyは,現代における伝統占星術の 主唱者の一人であり,彼の書いたReal Astrology, Real Astrology Appliedは, 伝統占星術の真髄を伝えることに成功している本であると思います.

しかし,レセプションに関わる議論で触れたように, John Frawleyが言うところのレセプションは,William Lillyが用いたレセプショ ンとも,伝統占星術の他の占星家が用いてきたレセプションとも異なるもので あり,Frawleyのレセプションの技法は,伝統占星術におけるレセプションの技 法とは言えないということが,Deborah Houldingなどによって, Skyscriptのフォーラム の上で議論されています.

John Frawleyは,レセプションの成立条件を「天体Bがエセンシャルなディグニ ティをもつ場所に天体Aが位置するとき,天体Aは天体Bにレシーブされる,ある いは,天体Bは天体Aをレシーブする」と定義しています.強調すべきは, Frawleyのレセプションでは,天体Aと天体Bの間にアスペクトがあることは要請 されないということです.

さらに,Frawleyは,レセプションの機能に関して,天体Aが天体Bにレシーブさ れるとき,「天体Aは天体Bを好む/愛する」,「天体Aは天体Bのコントロール 下にある」といった意味づけをもたらすものとして捉えています.この意味づ けは,天体Aが位置する場所において天体Bがもつディグニティの種類によって 異なります.サイン・ルーラーの場合は「AはBを愛する」,エグザルテーショ ンの場合は,「AはBに夢中になっている」といった具合です[John Frawley, The Horary Textbook, pp.71-75].

Frawleyのレセプションの説明は確かに分かりやすいのですが,伝統占星術にお けるレセプションの考え方とは異なるものです.これまでのエントリで説明し てきた通り,レセプションが成立するためには,アスペクトが必要であり,ア スペクトがあるからこそ,レセプションに固有の機能が効いてくるわけですが, Frawleyのレセプションではアスペクトを要求していません.Frawleyが言うと ころのレセプションは,伝統占星術におけるレセプションではなく,むしろディ スポーズ(dispose),ディスポジター(dispositor)という概念として捉えるの が自然です.

天体Aが天体Bによってディスポーズされるとは,天体Bがエセンシャルなディグ ニティをもつ場所に天体Aが位置することを言います.このとき,天体Bは天体 Aのディスポジターと呼ばれます.エセンシャルなディグニティはどんなもので も構いません.サイン・ルーラー(エグザルテーション・ルーラー,トリプリ シティ・ルーラー,…)によってディスポーズされるなどと言います.また, アスペクトは必要としません. このように,ディポーズという概念は,Frawleyのレシーブと同じものであることが分かります.

天体Aが天体Bにディスポーズされるとき,すなわち,天体Aが,天体Bが何らか のエセンシャル・ディグニティによって支配する場所に位置するということは, 天体Aが何らかの関心を天体Bに対して向けているということは言えるかもしれ ません.ただし,Frawleyの言うように,エセンシャル・ディグニティの種類に 応じて,愛する,夢中になるといった意味が導かれるかどうかは,議論の余地 があるでしょうが.

いずれにせよ,天体Aが天体Bに対して何らかの関心を向けているといった意味 が導かれるにしても,そのことは,単に,天体Aが天体Bにディスポーズされて いるということに由来するものです.レセプションが成立するためには, 加えて,天体Aと天体Bがアスペクトすることが必要であり,アスペクトが成立 してはじめて,天体Bが,天体Aの関心を受け入れ,天体Aに力を与えるという, レセプション固有の意味が導かれます.また,天体Aと天体Bが互いに敵意をも つような関係であっても,レセプションによってその敵意が和らげられるという, レセプションの重要な機能が効力を発揮することになります.

伝統占星術において,これをなぜレセプションと名づけたかということは, 「レシーブ(recieve)」に「お客を迎える,歓迎する」という意味があることを 考えれば,ごく自然に納得できることです.天体Bが天体Aをレシーブするとは, 天体Bが,自分の家に来た天体Aを自分の客として迎えるということなのです. それには,天体Aが天体Bの家に入ることだけではなく,天体Aと天体Bの間にア スペクトが成立することで,天体Bが天体Aの存在を認め,受け入れることが必 要になるというわけです.

このように,Frawleyの言うところのレセプションは,伝統占星術におけるレセ プションとは異なるものです.Frawleyのレセプションの技法は,ディスポーズ という概念を使った技法と捉えれば,伝統占星術の枠組みの中で位置づけるこ とは可能であると見ていますが,それは私の仕事ではないので,深入りしませ ん.

Frawleyは,レシーブという言葉を緩く定義して,ディスポーズと同じ意味で使っ ているだけで,それは用語選びの問題に過ぎないと反論する人がいるかもしれ ませんが,それは的を射た反論とはなりません.これは単なる用語選びの問題 ではないのです.なぜなら,本来のレセプションとは異なるものをレセプショ ンと言うことで,本来の意味でのレセプションがホロスコープ解読において果 たす重要な役割が見過ごされ,レセプションの機能を正しく理解することを妨 げられる可能性があるからです.

私は,John Frawleyという占星家を尊敬していますが,彼の現時点におけるレセプションの捉え方は,伝統占星術におけるレセプションとは異なるものであると考えます. 彼の言うところのレシーブをディスポーズと読み替えるならば,Frawley独自の方法として,適用場面によっては,役立つテクニックであると認識しています.

レセプションの機能

先のエントリでは, レセプションが成立する条件について書きました.まとめておきます.

レセプション(Reception)
天体Aが天体Bによってレシーブされる(recieved),あるいは,天体Bが天体Aをレシーブする(receive)とは,
天体Aが位置するサインまたは度数において,天体Bがエセンシャルなディグニティをもち,且つ,天体Aと天体Bが合あるいはアスペクトをもつときを言う.
ただし,ミューチャル・レセプションの場合,すなわち,2天体が,互いがディグニティをもつ位置にある場合は,2天体が合あるいはアスペクトをとっていなくとも,レセプションと同様の効果が期待できる.

なお,天体が位置する場所において天体Bがディグニティともつといっても, どんなディグニティでも同じ効果をもつわけではなく,サイン・ルーラーとエ グザルテーションによるレセプションの場合に効果が大きいと言われています. トリプリシティ,ターム,フェイスといったマイナーなディグニティによるレ セプションの場合は効果が小さく,Bonattiなどは,マイナーなディグニティの みのレセプションが効果を現すためには,2種類のマイナー・ディグニティによ るレセプションが必要であると言っています.

さて,このエントリでは,ホロスコープ解読におけるレセプションの働きにつ いて,まとめておきます.以下のテキストを参考にしています.

Deborah Houldingの記事に あるように,Bonattiは,レセプションの働きに関して,次のように記述してい ます(Bonatti, Liber Astronomiae,Treatise III, the Second Part, Chapter XC).

天体Aが天体Bによってレシーブされるとき,天体Bは,天体Aに対して,自身の 影響力,性質,効力を委ね,授ける.([Planet B] commits and gives [to Planet A] its own disposition, nature and virtue)
………
たとえ2つの天体が敵同士であったとしても(even if the planets are hostile),天体Bは天体Aに対して影響力を与える.

「影響力」とか「効力」とか「委ね,授ける」とか,あまり良い訳ではないで す.これだけでは分かりづらいと思うので,もう少し具体的に説明してみます.

天体Aが天体Bによって支配されるサインに位置しているとします.天体Bによって支配されるサインというのは,天体Bがサイン・ルーラーとなるサインという意味でもよいし, 天体Bがエグザルテーションとなるサインという意味でもよいです.その心は,天体Bが力をもっている場所に天体Aがいるということです.

また,天体Aが天体Bによって支配される場所に位置するということの意味は,状況に応じて様々です. 天体Aは天体Bに関心をもっているのかもしれないし,天体Aは天体Bの管轄下で何かやろうとしているのかもしれないし, 天体Bは何らかの意味で天体Aに捕らえられているのかもしれません. いずれにせよ,ここまでは,天体Aが天体Bによって支配される場所にいるということに由来する解釈であって, レセプションとは関係のない解釈です.

このとき,天体Aが天体Bによって支配されるサインに位置していることに加えて, 天体Aと天体Bが合あるいはアスペクトをとっていると,レセプションが成立します. Bonattiの説明だと,「天体Bは,天体Aに対して自身の影響力,性質,効力を委 ね,授ける(commits and gives ts own disposition, nature and virtue)」 ということになるわけですが,どういうことかと言うと,天体Bは,自分が支配 する場所にいる天体Aに対して,「そこにいていいよ.君はウェルカムだ」, 「あなたの関心を受け入れますよ」,「君に僕の力を与えよう」,「君のため に僕の力を使ってあげよう」などと,天体Bは天体Aを受け入れ,手助けしてく れるようになるわけです.このことは,Deborah Houlding が書いているように,王様が,自分に従う配下の者たちに対して,思いやりの心をもち,彼らのために力を行使してやることとに似ています.

さらに,レセプションの重要な機能として,天体Aと天体Bが互いに敵意をもつ ような関係であっても,,天体Aと天体Bの間にレセプションがあれば,その敵 意を和らげることができるという機能があります.このレセプションの機能は, 伝統占星術の文献に何度も繰り返して現れます.天体Aが,マレフィックな天体 Bとスクエアであっても,天体Bが天体Aをレシーブしていれば,困難さは和らげ られるとか,あるいは,場合によっては事が成就する,といった具合です.

この典型的な例が,William LillyのChirstian Astrology, Vol.I, p.173にあ ります.Lillyは,ここで,「相手に要求したお金やモノを手に入れることがで きるか?」(相手にお金を貸していてそれを返してもらうような場合)という ホラリーを解読するルールについて説明しています.

詳しい解説は, Deborah Houldingの記事を読 んでいただくこととして, 簡単に説明すると,この状況では,質問者は1ハウス・ルーラーか月,相手は7 ハウス・ルーラーで表されます.相手のお金(質問者が手に入れたいもの)は, 8ハウスが管轄します.

Lillyは,まず,1ハウス・ルーラーあるいは月が8ハウス・ルーラー,8ハウス 内の天体とアスペクトするかどうかを見なさいと言います.もし,1ハウス・ルー ラーあるいは月が,8ハウス内の天体とアスペクトをとり,且つ,その8ハウス 内の天体が幸運な天体であり,アスペクトが調和的なアスペクト(トライン/ セクスタイル)であれば,事は成就します(お金は手に入ります),とLilly は言います.ここで,幸運な天体とは,単純には,状態のよい木星や金星を考 えればよいでしょう.

次に,1ハウス・ルーラーあるいは月が,8ハウス内の不運な天体や,8ハウス・ ルーラーとアスペクトをもち,且つ,8ハウス内の天体や8ハウス・ルーラーが 1ハウス・ルーラーあるいは月をレシーブするするならば,事は成就すると言い ます.ここで,不運な天体とは,単純には,土星や火星を考えればよいです.

さらに,1ハウス・ルーラーあるいは月が,8ハウス内の不運な天体や,8ハウス・ ルーラーとアスペクトをもち,且つ,8ハウス内の天体や8ハウス・ルーラーが 1ハウス・ルーラーもしくは月をレシーブしないのであれば,質問者が困難に出 会ったり,苦労をしたり,あるいは,事は成就しないであろう,と言います.

このホラリーのルールは,レセプションの機能をうまく使っています.すなわ ち,8ハウスは,相手のお金という意味の他に,危険とか困難とか,本来的に1 ハウスに対して敵対する意味をもっているため,8ハウス・ルーラーや8ハウス 内の不運な天体と,質問者自身を表す1ハウスルーラーや月がアスペクトをとる ということは,質問者にとって本来的に危険を伴います.その危険を回避する ためには,8ハウス・ルーラーや8ハウス内の天体が,1ハウス・ルーラーや月を レシーブすることで,1ハウス・ルーラーや月を受け入れ,手助けを与えること が必要です.そういったレセプションが成立すれば,8ハウスからの敵意は和ら げられるため,事は成就するというわけです.

このレセプションの機能については, Benjamin Dykesが, Skyscriptのフォーラムにおいて, 十字軍を扱った映画「Kingdom of Heaven」のシーンを使って,分かりやすい比喩を使って説明しています.正確には, Skyscriptのフォーラム を見ていただくこととして,簡単に紹介すると,

十字軍の二人人の王がサラディンに捕らえられ,サラディンのテントに連れ てこられた.サラディンは,二人の王のうち,一人の王に対しては,ゲスト として迎える心づもりで,王に氷水を与えた.ところが,サラディンがゲス トとして扱うつもりでない王もまた氷水を取った.その王は殺された.

サラディンが支配する場所に入った二人の十字軍の王のうち,一人の王はサラ ディン(8ハウスルーラー)にレシーブされているから無事だったけれど,もう 一人は,レシーブされていなかったので,殺された,という比喩です.

以上,レセプションの機能を説明しました.単に,天体Aが,天体Bによって支 配される場所に位置するだけではレセプションとは言わず,アスペクトがある ことによってはじめて,天体Aは天体Bの力の恩恵を受けることになります.

なお,最初に書いたように,レセプションがミューチャルなものであれば,アスペク トがなくても,レセプションと同様の機能をもちます.しかし,ミューチャル なレセプションがどういう意味をもつかをよく考える必要があります.1ハウス・ ルーラーと8ハウス・ルーラーがミューチャルなレセプションをもつことは,必 ずしも良いことではありません.上に書いたように,8ハウス・ルーラーが1ハ ウス・ルーラーをレシーブすることは好ましいですが,逆に,1ハウス・ルーラー が8ハウス・ルーラーをレシーブすることは,怖い人を自分の家に招いているこ となので,必ずしも良いことであるとは言えません.双方向のレセプションの うち,いずれが支配的な影響力を発揮するかは,状況によります.

レセプションはいつ成立するのか

伝統占星術におけるレセプション(reception)という概念について見ていきま す.まず,このエントリでは,レセプションが成立する条件について書きます.

以下のテキストを参考にしています:

伝統占星術といっても,17世紀以前の書き手の誰もが,全く同じことを書き綴っ てきたわけではありません.レセプションに関してもそうで,書き手によって レセプションの定義が異なっている部分もあります.しかし,全く首尾一貫し ていないかと言うと,そうではなく, Deborah Houldingの記事に あるように,,部分的な相違を除いては,レセプションが成立する条件に ついて,ほぼ共通項があります.すなわち,

レセプション(Reception)
天体Aが天体Bによってレシーブされる(recieved),あるいは,天体Bが天 体Aをレシーブする(receive)とは,
天体Aが位置するサインまたは 度数において,天体Bがエセンシャルなディグニティをもち,且つ,天体A と天体Bが合あるいはアスペクトをもつときを言う.

ここで強調しておきたいことは,レセプションが成立するためには,天体Aが 位置する場所(サインまたは度数)において天体Bがディグニティをもつだけ でなく,2つの天体が合あるいはアスペクトをもっていることが条件に含まれ ていることです.ただし,特筆すべき例外があって,それは,いわゆるミュー チャル・レセプション(mutual reception)の場合です.これについては後で触 れます.

レセプションの例を挙げておくと(Bonattiによる例です),月が牡羊3度にあ り,火星(牡羊のサイン・ルーラー)が双子8度にあるとき,月と火星はセクス タイルのアスペクトをもち,月は火星がサイン・ルーラーとなるサインにあり ますから,火星は月をレシーブする,あるいは,月は火星にレシーブされます.

これが,レセプションの成立条件の共通項ですが.書き手によっては,アスペ クトは接近のアスペクトでなければならないという条件をつける場合もありま す.また,天体Aが位置する場所で天体Bがディグニティをもっていると言っ ても,どんなディグニティでもよいわけではなく,サイン・ルーラーかエグザ ルテーションのいずれかのディグニティでないと十分には効果を発揮しないと 考えることが多いです.トリプリシティ,ターム,フェイスといったマイナー なディグニティだけだと,レセプションは成り立つけれども,効果は弱いと考 えるわけです.Bonattiは,サインのルーラーでもエグザルテーションでもなけ れば,トリプリシティ,ターム,フェイスのうち2つのディグニティをもって いないといけないと,細かく条件をつけています.

また,レセプションが機能する条件として,レシーブしている天体Bがデトリ メントやフォールといった力の弱い状態にあってはならないとか,レシーブし ている天体Bが,レシーブされている天体Aがフォールやデトリメントとなる 場所に位置してはならないといったことも言われています.

というように,書き手によって異なる部分や,より厳密な条件はつけられるこ とはありますが,レセプションが成立するためには,天体Bがディグニティを もつ場所に天体Aが位置するというだけではなく,2つの天体が合,あるいは, アスペクトをもっていることが条件に含まれていることは共通しています.

次に,ミューチュアル・レセプションについてです.ミューチャル・レセプショ ンとは,2つの天体が,互いがディグニティをもつ位置にあるときを言います. William LillyがChristian Astrology で与えているレセプションの定義 (Christian Astrology, Vol.I, p.112)は,ミューチュアル・レセプションで, 且つ,2つの天体がアスペクトをもつことは条件に含めていません.Lillyはア スペクトをもたない場合でもレセプションが成立すると書いているわけで,伝 統に照らして,これをレセプションと言ってよいのでしょうか.答えはYES です.

これは,Ibn EzraがGenerosity(Liberality)と呼んでいるもので,2つの天 体が,互いがディグニティをもつ場所にあるときは,2天体が合やアスペクト をもたなくても,レセプションは成立すると書き残しています(The Beginning of Wisdom, Chapter VII, Translated and Annotated by Meira B. Epstein,ARHAT Publications, p.125).

Lillyは,この伝統に沿って,Christian Astrology Vol.Iのミューチャル・レ セプションの定義を与えたのでしょう.あと重要なことは,Lillyは,なにも, レセプションとしてミューチャル・レセプションのみを考慮しているわけでは なくて,通常のレセプションである,片側のレセプション(当然アスペクトあ り)も扱っています.

以上見たように,2つの天体の間にレセプションが成立するためには,一方の 天体が,他方の天体がディグニティをもつ場所に位置することだけではなく, 2天体が合あるいはアスペクトをとっていることが原則です.しかし, 2天体が合あるいはアスペクトをとっていなくとも,レセプションがミューチャ ル(相互的)なものであれば,同様の効果が期待できるというわけです

では,レセプションはホロスコープ解読においてどのように使われてきたので しょうか.それは次のエントリで見ていきます.

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